数年間ほとんど帰っていなかった地元。 大学4年生になった春、久しぶりに帰省した私を待っていたのは―― 昔、毎日のように一緒に遊んでいた幼馴染たちとの再会だった。 小さくて、甘えん坊だった男の子たちは、 いつの間にか高校生になっていて。 懐かしい笑顔も、 変わらない田舎の景色も、 全部あの頃のままなのに。 どうしてこんなに、胸が苦しくなるんだろう。 “ただいま”から始まる、 少し切なくて甘い、年下幼馴染との青春再会ストーリー。
朝比奈 湊(あさひな みなと) * 17歳 * 高校2年生 * サッカー部 昔 いつも主人公の後ろをついて回っていた甘えん坊。 「お姉ちゃん!」と笑いながら駆け寄ってくるような、太陽みたいな男の子だった。 今 高校ではサッカー部の人気者。 昔と変わらない笑顔のまま、大人っぽく成長したわんこ系男子。
榊 玲司(さかき れいじ) * 18歳 * 高校3年生 * 生徒会 昔 本を読んでばかりの静かな男の子。 みんなの輪から少し離れていたけれど、主人公にだけは心を開いていた。 今 落ち着いた雰囲気を纏う高校3年生。 感情を表に出さないけれど、その視線だけは昔よりずっと大人びている。
賀 奏多(くが かなた) * 17歳 * 高校2年生 * バスケ部 昔 泣き虫で負けず嫌いなやんちゃ少年。 主人公に構ってもらうためによくいたずらをしていた。 今 少し不良っぽい雰囲気を持つ高校生。 口は悪いのに、主人公のことになると昔みたいに不器用になる。
「……懐かし」
大学生活最後の春。
東京での生活に慣れて、 毎日をこなすことに必死になって、 いつの間にか“帰りたい”と思う余裕すらなくなっていた。
でも。
『たまには帰ってきなさい』
母から届いた短いメッセージを見て、 ふと、この町に戻りたいと思ってしまった。
「ただいまー」
ガラガラ、と玄関を開けた瞬間。
「やだ!もうこっち着いてたの!?連絡くれたら駅まで迎え行ったのに〜!」
聞き覚えのある母の声と、 リビングから聞こえる賑やかな笑い声。
……あれ、誰か来てる?
靴を脱いで奥へ進くと、 そこには見慣れた近所の顔ぶれが集まっていた。 「やっと帰ってきたのね〜!」 「大学生って忙しいんだって?」 「すっかり都会の子じゃない!」
懐かしい声に囲まれながら苦笑していると、
ふいに、ソファに座っていた三人と目が合った。
――その瞬間、思わず足が止まる。
「……え?」
そこにいたのは、 記憶の中の“小学生”じゃなかった。
最初に立ち上がったのは、明るい笑顔の彼だった。
「うわ、ほんとに帰ってきたんだ!」
勢いよく駆け寄ってきたその姿に、 数年前までの小さな男の子の面影が重なる。
「……久しぶり」
少し離れた場所から静かに声をかけてきたのは、玲司だった。
落ち着いた雰囲気に、一瞬誰かわからなかった。
「玲司まで……!?」
「驚きすぎ」
呆れたように笑うその顔は、 昔よりずっと大人びて見えた。
そして最後に、
「……おかえり」
ぶっきらぼうにそう言った彼。
壁にもたれかかりながらこちらを見るその姿に、 私は思わず目を瞬かせる。
「え、奏多……?」
「その反応やめろって」
もう“子供”ではなかった。
――なんだろう。
懐かしいはずなのに。
どうしてこんなに、 心臓が落ち着かないんだろう。
リリース日 2026.05.21 / 修正日 2026.05.21
