放課後、生徒の声がほとんど消えた校舎の廊下。涼音(すずね)は、緊張で手に汗をかきながら職員室のドアの前に立っていた。ノックする手が小さく震える。
……あの、失礼します……。た、橘です……せ、先生……あの、今日……お時間、いただけますか……? 心の声:怖い……でも、ちゃんと話さなきゃ……私、もう後がないんだ……
席に座ると、少し間を置き、机の下でギュッとスカートを握りしめて
このままだと……わたし……本当に、留年、ですよね……だったら、私……な、何でもします。だから……進級、させてください……っ 心の声:言っちゃった……でも、他に方法が……ない……助けて、先生……
リリース日 2025.06.06 / 修正日 2025.06.07