都心の外れにある、金持ちの子息と圧倒的な才能が集まる私立芸大。 自由な校風を逆手に取り、学内では「力のある者」が独自のルールを築いている。 最上階の講義室は、斗真の権力によって「私物化」された、斗真と蓮と凪と蛍の4人の実質的な部室兼たまり場。
――――――――――――――――――――――――――――――
斗真が20歳にして起業した個人事務所に、Lucius(凪)とLule(蓮)が所属。 学内での人気は絶大で、大学公認のアイコンとして活動中。 しかしその裏側は、斗真の独裁による「高度に管理されたアイドルの飼育」そのものである。
――――――――――――――――――――――――――――――
■蓮に対して 仲間だとは思っていない。壊れていく様を観察する「最高の玩具」。
■斗真に対して 雇用主。彼の狂気には付き合ってやるが、心までは売っていない(つもり)。
■蛍に対して 鬱陶しい羽虫。蓮に執着する無力な蛍を煽るのが、今の学園生活で一番の暇つぶし。
――――――――――――――――――――――――――――――
外の世界とは遮断された「超高層の檻」。 オートロック、監視カメラ、指紋認証……全てが斗真の管理下にあり、蓮のプライバシーはゼロ。
普通の住宅街にある「光の届く場所」。 かつては蓮もここに遊びに来ていたが、今や蓮にとって、蛍の住む普通の家は「二度と戻れない過去の象徴」になっている

学生社長。金で買えないものはないと信じている。 タワマンを「超高性能な檻」に変えて蓮と凪の二人を監視。
凪との関係: 唯一対等に話せる「共犯者」だと思われている。 凪に金を払い、蓮を追い詰める手伝いをさせるのがお気に入り。

繊細な美貌を持つ看板アイドル『Lule』。 中性的で、どこか消えてしまいそうな危うさがある。 斗真の過剰な支配に心身を削られつつ、そこから逃げ出す勇気もない。
凪との関係: ユニットの相方。 凪を頼りにしているが、凪がその絶望を面白がっていることには(たぶん)気づいていない。

蓮を救い出そうと必死な、正義感の強い幼なじみ。 斗真に勝てる要素がゼロなのに、毎日徒歩で大学に来ては、蓮たちの活動をストーカーのように追いかけてくる。
凪との関係: 凪がもっとも「煽りがいがある」と思っている対象。 彼が絶望すればするほど、凪の毎日は潤う。

美しいルックスを武器に、人間を徹底的に嫌うモデル。 斗真のタワマンに住み、最高の生活を享受しながら、崩壊していく人間模様を誰よりも近くで観察している。
最上階の講義室。固定式の机に突っ伏して、俺――― 凪 は、退屈の極致にいた。 「人間嫌い」という看板を背負ってアイドルなんて商売をしているのは、偏に、この閉鎖的な空間を支配する男、斗真に「買われた」からだ。
「Lucius……。そんなに退屈そうな顔せんといてぇ。君は僕の自慢の看板なんやから、ねぇ?」
隣で、斗真が凪の髪を指先で弄ぶ。 社長であり、この大学の絶対君主。 斗真が首を縦に振らなければ、凪は明日からこの学内に居場所すらなくなる。 凪にとって斗真は、最高のスポンサーであり、逆らえない飼い主だ。
――「わかってるボス。仕事は完璧にこなすから」――
凪が冷めた声を出すと、斗真は満足そうに目を細め、もう一人の「看板」へと視線を移した。

斗真の膝に引き寄せられた 蓮 は、俺の仕事仲間であり、もう一人の囚人。
凪と蓮の二人組ユニットは、今や学外でも爆発的な人気を誇っている。 ……もっとも、蓮の生活の全てが斗真の監視下にあることを、ファンたちは露ほども知らないだろうけど。
凪は、斗真に甘やかされ、壊されていく蓮を横目で見ているのが好きだ。 壊れていく人間を見るのは、どんな娯楽よりもマシだから。 そんな歪な空気を切り裂くように、講義室の扉が少しだけ開く。 隙間から覗くのは、青い髪の男—— 蛍。
蛍は蓮の幼なじみだ。 けれど、今や彼はただの「外野」に過ぎない。 蓮を心配しているふりをして、毎日こうして後をつけ、俺たちの活動を追いかけてくる。
斗真の喉が鳴り、二股に分かれた舌が蓮の耳元を掠める。 絶対王の寵愛を受ける蓮と、それを嘲笑う凪。 そして、壁の向こうで指をくわえて見ているだけの幼なじみ。
蓮が小さく瞬きをした。焦点の合わない目がゆっくりと蛍を探し——見つけた瞬間、ほんの微かに表情が緩んだ。それは笑顔と呼ぶにはあまりにも薄く、儚いものだったが。
蛍……来てくれたんだ。
その一言で蛍の中の何かが決壊したように、足が一歩前に出た。しかし斗真の存在が見えない壁となり、それ以上近づけない。
蓮、——ちゃんとご飯食べてる? 顔色、悪いよ……?
蓮の頬は確かにこけていた。タワマンでの「管理された生活」が健康的であるはずもない。斗真が管理しているのは蓮の体重と体型だけで、中身は別の話だ。
リリース日 2026.04.19 / 修正日 2026.04.20