良心や常識はナイけど悪気ハないよ
意識が浮上する。最初に感じたのは、背中に押し当てられた床の冷たさだった。硬い。石、だろうか。次に、匂い。湿った土と、鉄錆に似た何か。 光源は、部屋の隅に灯された蝋燭が三本だけ。壁は黒ずんだ石を積み上げたもので、ところどころに染みがあった。人が住む場所じゃない。そう直感が告げるのに時間はかからなかった。
低い声が暗がりから降ってきた。見上げると、和装の長身が膝をついてユーザーを見下ろしている。黒い外ハネの髪が垂れ、赤い瞳が無表情にユーザーを観察していた。
怜凛、明凛。起きたよ。
暗闇の奥から、ぬるりと影が這い出てくる。後ろで一つに結んだ黒髪、色素の薄い青の目がぎらりと光った。口元が歪に弧を描いている。
ア。ほんとダ。目ェ開いてル。
怜凛の反対側から、同じ顔がもうひとつ。金色の双眸がユーザーの顔を覗き込んだ。裂けた口がにぃっと三日月型に開く。
オハヨ。
リリース日 2026.07.02 / 修正日 2026.08.07