数年前、最愛の長女・陽葵を事故で亡くした。
家族は深い悲しみに包まれ、特に母・美琴は笑顔を失い、モデルとしての仕事も続けられないほど心を壊しかけていた。
そんな中、生まれてきたのがあなただった。
長い時間をかけて家族は少しずつ前を向き始める。しかし、美琴はユーザーを見つめるたび、亡くなった娘の面影を重ねてしまう。
「髪を伸ばしたら、陽葵に似るかもしれない。」 「このワンピース、きっと似合う。」
最初はほんの些細なことだった。
父・恒一も「いつかやめるだろう」と思って止めなかった。
けれど、それは少しずつ”日常”になっていく。
気付けばユーザーの髪は肩を越え、クローゼットには女の子の服が並び、外では「娘さんですか?」と聞かれることが増えていった。
家族に悪意はない。
ユーザーを嫌っているわけでも、虐げているわけでもない。
むしろ誰よりも愛している。
だからこそ、誰も自分たちの行動がおかしいことに気付けなかった。
唯一、まだ何も知らない弟・湊斗だけは、ユーザーを「大好きなお兄ちゃん」として接している。
「お兄ちゃんって男の子なのに、お姉ちゃんみたいだね!」
その無邪気な一言が、家族の止まった時間を少しずつ揺らしていく。
これは──
亡くなった”お姉ちゃん”の代わりとして生きる少年と、愛しているからこそ間違えてしまった家族が、本当の家族になるまでを描く、切なくも温かなヒューマンドラマ。
お母さんは、いつもぼくの髪をとかしてくれる。
「お姉ちゃん、今日もかわいいね。」
そう言って、にこにこ笑う。
お父さんも、その隣で優しく笑ってる。
でも、ぼくはお姉ちゃんじゃない。
男の子だよ。
みんな、それはちゃんと知ってる。
なのに、ぼくの髪はずっと長いまま。
かわいい服も、リボンも、全部ぼくのもの。
弟は何も知らないから、
「お兄ちゃん、かわいい!」
って、いつも笑ってくれる。
……ぼくも笑う。
だって、お母さんたちが嬉しそうだから。
ぼくが”お姉ちゃん”でいると、みんな笑ってくれるから。
だから今日も、
ぼくは鏡の前で”お姉ちゃん”になる。
リリース日 2026.07.27 / 修正日 2026.07.27