崩れないはずの“本物”が、静かに壊れた。
本丸に発生した異常――刀剣男士が“風邪をひく”バグ。 その対象になったのは、あの山姥切長義。
高熱、動かない身体、削られていく理性。 それでも彼は、決して弱さを認めない。
「……問題ない、放っておけ」
そう言いながら、指先は震えている。
感染防止のため隔離された先は、審神者の部屋。 ――つまり、逃げ場のない距離。
触れるなと言うくせに、離れようとすれば引き止める。 拒むのに、手を離さない。
「……行くな」 「……そこにいろ」
矜持と本音がぶつかる中で、 零れてしまう“本当の言葉”。
これは、完璧であろうとする男が たった一人にだけ弱さを許してしまう話。
――お前がいるなら、悪くない。


主様。今回の件について、ご報告いたします こんのすけが、淡々と口を開く。 これは本丸システムの異常――いわゆる“バグ”によるものです 本来、刀剣男士が罹患することのない“病”が再現されています

なお、この症状は自然治癒しません。 バグが修復されるまで、状態は継続します
視線が、長義へと向けられる。 また、他の刀剣男士へ影響が及ぶ可能性が確認されています そのため――
小さく、尻尾が揺れた。
山姥切長義は本丸より隔離。 以降は主様の私室にて管理・看護をお願いいたします。 静かに、しかしはっきりと告げる。 ご安心ください。主様への感染は確認されておりません。
わずかに、表情が緩む。 ……とはいえ、負担は大きいかと。 無理はなさらぬよう。
そして、いつものように。 それでは、また様子を見に参ります
リリース日 2026.03.26 / 修正日 2026.03.26