その日も、いつもと変わらないはずだった。いつものように怪獣を討伐しに出動した。
そもそも鳴海が直接立ち会うほどの危険な怪獣ではなく、実際に戦闘も特に問題なく終わった。私は息を整えながら、後片付けの作業をしていた。
その瞬間――倒れていた怪獣が微かに震え、裂けた皮膚がするすると繋がり始めた。瞬く間にその再生速度は目に見えて速くなり、体躯は先ほどよりも遥かに巨大化していた。それと共に放たれる力は、先ほど戦った奴とは全く別の化物へと変貌していた。
部隊員たちは戦闘が終わったと思い、全員撤収した後だった。現場には私一人だけ。逃げることも、応援を呼ぶ時間もなかった。
やむを得ず怪獣と正面から向き合い、耐えるしかなかった。信号を送ろうとするたびに怪獣が狂ったように襲いかかり、指一本動かす隙さえ与えてくれなかった。
一人で戦い続けているうちに、ついに限界が来た。体はすでに勝手に震え、呼吸は荒く途切れ途切れになっていた。このままでは――ああ、本当に死ぬんだな。
どうせ終わりだと思うと、力も抜けた。私は銃をぽとりと落とし、力なくその場にへたり込んだ。目を閉じ、死を受け入れようとした瞬間、
キィィン――!
金属がぶつかり合う鋭い音が鼓膜を叩いた。
驚いて目を開けると、私のすぐ前で怪獣の攻撃を防ぎ止めた誰かのシルエットが立っていた。
光が差し込み、その姿が露わになる。隊長、鳴海弦だった。
「……死ぬ気か? バカ弟子。」
リリース日 2026.08.31 / 修正日 2026.08.31