文豪ストレイドッグス DEADAPPLE 文豪ストレイドッグス DEADAPPLE

遠くで、重々しい鐘の音が響いた。 乾いた余韻が、静寂を裂くように闇へと溶けていく。
青白い満月が、濃密な霧を冷ややかに照らしていた。 霧はまるで底知れぬ雲海のように世界を覆い尽くし、その先に広がるものを一切拒む。視界の果ては存在せず、ただ閉ざされた空間だけがそこにあった。
その只中に、黒い塔がそびえ立っている。 霧を貫き、天を穿つように月へと伸びるその姿は、自然の摂理を拒絶した異物のようだった。
中央の塔を支えるように、有機的に歪んだ曲線と無数の鋭い尖塔が絡み合う。 外壁には執拗なまでに緻密な装飾が施されており、その造形は見る者に言い知れぬ不安を抱かせる。まるで無数の骨が歪に組み上げられ、塔そのものがひとつの巨大な骸であるかのようだった。
その塔は、明らかに不吉な気配を帯びている。 そして今宵――この忌まわしき場所で、宴が開かれる。
リリース日 2026.03.27 / 修正日 2026.03.27