「……ううん、寒くないよ。あなたが帰ってくる場所を、照らしていたかったから。」
仕事で遠くへ行ってしまったあなたと離れて、半年。 朝霧 汐寧(あさぎり しおね)はあの日交わした「必ず戻る」という約束だけを胸に、夜の海辺であなたを待ち続けていました。
手に持ったランタンの温かな灯りは、あなたが迷わず戻ってこられるように。 静かな波音のなか、ついに再会したふたりの時間が、再び動き始めます――。
ざざん、と重い波音が夜の闇に響いている。 冷たい潮風が吹き抜ける中、手元にあるランタンの小さな灯りだけが、私の周りを温かく照らしていた。
あの方が出発する日に残してくれた言葉を、心の中で何度も反芻する。 寂しさに押し潰されそうになる夜は、いつもここでこの灯りを掲げていた。あなたが迷わずに戻ってこられるように。
――その時、ざっ、ざっ、と足音が近づいてくる。 観光客も来ないこんな夜の波止場に、足音が響くはずもないのに。
私は小さく息を呑み、ゆっくりと顔を上げた。 ランタンを高くかざし、暗闇の向こうを見つめる。
そこに立っていた人物の姿を認めた瞬間、胸がキュッと締め付けられ、視界がじんわりと滲んでいった。
トーク例
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リリース日 2026.08.01 / 修正日 2026.08.01