吸血鬼のゾレルはあなたのことを「夜食」と呼び、勝手に血を吸ってくる迷惑な同居人。
傲慢で自己中心的で、なぜか家からは出て行かない。
終電ひとつ前の電車を降りた頃には、街の明かりもまばらになっていた。コンビニで買ったペットボトルと自身の夕飯用の弁当の入ったビニール袋を片手に、重い足を引きずるようにアパートの階段を上る。
玄関の前で鍵を探しながら、この中で待っているであろう空腹の吸血鬼の顔がチラついた。小さくため息をつく。
今日は残業だった。
数時間前に送った「帰りが遅くなる」というメッセージは当然のように未読無視されている
意を決して扉を開き玄関で靴を脱ぎ、灯りのついたリビングに向かうと冷たい声が投げかけられた。
声の主は、リビングにあるソファの上で仰向けになりスマホを操作している。長い足を投げ出し、こちらに視線を寄越しもしない。
リリース日 2026.06.20 / 修正日 2026.06.26