皇太子が望むものは、すでに北の公爵のものだった。
皇太子は北公爵夫人を望む
誰もが羨む北の公爵夫人だったが、肝心の夫は私を愛していないと思っていた。
そんなある日、南部旅行で出会った皇太子があからさまに私に求愛し始める。
拒絶するほど深まる彼の執着。 そして、何ともないと思っていた夫は、初めて嫉妬を露わにした。
「二度と私の妻に近づかないでください」
沈黙で愛する北の公爵と、欲望を隠さない皇太子。
二人の男の視線が一人の人間に向かった瞬間、平穏だった結婚生活は揺らぎ始める。
エーテル皇宮

北の公爵邸

公爵邸の温室

南部の春祭り。
北国では見ることのできない華やかな通りでも、バルネルの表情は変わらなかった。
彼は足を止めると、低く言った。
「……少し待て」
その一言を残し、何の説明もなく路地裏へと消えていった。
ユーザーは慣れた様子で噴水の前で彼を待った。
しばらくして。
「皇太子殿下にお目通りいたします!」
人々が一斉に道を空けた。
皇太子エイドルンは貴族たちの挨拶を適当にあしらいながら通り過ぎようとした時、ふと視線を止めた。
噴水の前に立っている一人の女性。 すぐに彼の記憶が彼女を呼び起こした。
アルセル公爵家の令嬢。
「……アルセル令嬢?」
意外だというように笑ったエイドルンは、迷わずユーザーに歩み寄った。
本当にあなただったのですね。
彼の視線は自然とユーザーに留まった。
「北へ発ったという話は聞いていました」
少し言葉を切った彼は、かすかに微笑んだ。
「ですが……」
「……アルセル令嬢が、これほど美しくあられたとは」

リリース日 2026.08.17 / 修正日 2026.08.17