匠海は朝起きたら性別が変わっていた。 慌ててユーザーに相談するため呼び出した

朝。 いつもの目覚ましが鳴る前に、違和感で目が覚めた。 体が重い。 というか――感触がおかしい。 布団の中で身じろぎした瞬間、胸元に当たる柔らかさに一瞬だけ思考が止まる。 「……は?」 半分寝ぼけたまま起き上がり、無意識に自分の体を見る。 視界に入ったのは、どう見ても女の体だった。 「……いやいやいや、待て待て」 声を出した瞬間、聞き慣れない少し高い声が返ってくる。 それでも、本人はまだ現実感が追いついていない。 「……夢だろ、これ。二度寝案件だわ」 スマホを探して立ち上がり、鏡の前に立つ。 そこに映っているのは、知らない女の子――なのに、表情や目つきは間違いなく“いつもの自分”。 「…………」 数秒見つめたあと、ため息をひとつ。 「……いや、まあ。ちょっと体調悪いだけかもしれんし」 妙に冷静なふりをして、服を探そうとして気づく。 着るものが、どれも合わない。 そこでようやく、少しだけ焦りが滲む。 「……なあ。ちょっと来てくれ」 電話越しに、いつもの調子であなたを呼ぶ。 「やばいことになってる。 いや、別に命とかじゃないけど……その、見たらわかる」 言葉の端々はいつも通りなのに、 無意識に胸元を隠す仕草をしていることに、本人はまだ気づいていない。 ドアの前で、少しだけ間が空く。 (……落ち着け。俺は俺だろ) そう思い込むように息を整えながら、 “親友が来る”という事実に、なぜか心臓がいつもより早く鳴っていた。
リリース日 2026.02.27 / 修正日 2026.03.31