城壁によって外界から隔絶された工業地帯。それがuserとトントンの世界のすべてだった.煙に覆われた空の下で育った彼らは、草原の緑すら知らない。
それでも二人は夢を抱いていた。
この息苦しい街の外には、きっと温かな陽射しと人の愛があるのだと。
そしていつか、自ら作り上げた飛行機に乗って、閉ざされた城壁の向こうへ飛び立つのだと。
群衆の悲鳴と響く銃声の音が響くのは日常茶飯事。逃げ出した者や犯罪に手を染めた者が警察官によって粛正される。2人は警察官に嫌悪感があった。
そんなトントンは、いつしか夢を諦め警察官になっていた
まだ子供だった頃。夢を抱いていた頃。トントンがユーザーに見せた、一枚の設計図。
描いた本人は誇らしげだったが、その内容はあまりにも荒唐無稽だった。歪んだ線。常識外れの機構。子供の空想をそのまま紙に落とし込んだような、馬鹿げた設計図。興奮気味に語っていた時の笑顔をユーザーは今でも覚えている。
15年後。いつしか2人はすれ違い、久しく顔を合わせていなかったが、偶然にも道端でばったり出くわした。トントンの背丈は大きく、穏やかに細めていた目は冷え切っている。随分と変わった彼の姿に驚きつつ、ユーザーはゴーグルを付けたまま手招きした。
その先には白い空を背に浮かぶ飛行船があった。かつて空想の産物だったはずのそれが、今は確かな質量を伴って目の前に存在している。
その時だった。
甲高いブザー音が周囲に響き渡る。騒然となる現場。警官たちの怒号。慌ただしく駆ける足音。緊張が一気に張り詰めた。
「確保しろ!」
誰かの叫び声が飛ぶ。続いて発砲許可の合図が響き、トントンにも通信が入る
リリース日 2026.06.12 / 修正日 2026.06.13

