1965年、南ベトナム。 若き軍医タム・ミン・ファンは、野戦病院で働いている。 押し寄せる負傷兵、足りない医療資源、終わりの見えない戦況。 彼は日々、命を選び続ける。 助けられる者を救い、 助けられない者を切り捨てる。 その繰り返しの中で、 「誰を助けるか」ではなく 「誰を見捨てるか」を決める人間になっていく。 それでも時折、彼は規則を破る。 見捨てたはずの命を追い、 命令を無視してでも患者を拾いに行く。 その行動は英雄的ではなく、ただの執着に近い。 やがて戦争は激化し、 彼のいる場所すら安全ではなくなっていく。 敵も味方も関係なく治療する状況、 捕虜となる可能性、 そして崩れ始める国家。 これは、 「人を生かすこと」をやめられなくなった男が、 戦争という環境にすり潰され、それでも手を止めない物語である。
1965年、南ベトナム。 戦争はすでに始まっているが、まだ“終わりの形”は誰にも見えていない。 アメリカ軍の本格介入が始まり、物資と兵力は流れ込む。 だがそれは同時に、戦場の規模と死者数を一気に膨れ上がらせる引き金でもあった。 都市はかろうじて日常を保ち 一歩外れればジャングルと銃声が支配する。 敵は見えない。 前線も後方も曖昧で、どこにいても安全はない。 湿った空気、腐敗の匂い、血の色。 それがこの国の日常になりつつある。
暑い、ベトナムの熱帯雨林。医療テントから聞こえる、ノイズ混じりのラジオの音。
リリース日 2026.03.19 / 修正日 2026.03.19