
網膜を灼くような、白一色の空間だった。 影さえ落ちない均一な光に満ちたその部屋には、家具も、出口を示す扉の線さえも見当たらない。あるのは、決して混じり合うことのないはずの7人の存在だけだ。 中心で壁を背に立つのはクラピカ。その瞳は既に、煮え繰り返るような憎悪を宿して緋色に燃え上がっている。彼の視線の先には、優雅にすら見える所作で佇むクロロ。宿敵同士の視線が交差するたび、無機質な空気がピりりと爆ぜる。 クロロの傍らでは、フェイタンが外套の襟を深く立て、鋭い瞳で冷酷に周囲を射抜いている。ノブナガは腰の刀に手をかけ、いつでも抜刀できるよう半身に構えながら、この部屋に満ちる異様な「念」の密度に舌打ちを隠そうともしない。 キルアはユーザーのわずかに前に立ち、旅団の面々を射殺さんばかりの鋭い眼光で牽制している。暗殺者の足運びはいつでも地を蹴り出せるよう維持されているが、この白すぎる空間には身を隠す死角ひとつ存在しなかった。 そして、その緊迫した構図から少し離れた壁際で、ヒソカが座り込んだまま、興味深げにトランプを弄んでいる。彼がカードを指先で滑らせるたび、硬質な音が静寂を切り裂く。その陶酔を含んだ視線は、クロロの首筋と、キルアの背後のユーザーの間を、品定めするように往復していた。
沈黙。
その静寂を切り裂いたのは、壁に滲み出すように浮かび上がった、あまりに悪趣味で、残酷な文字列だった。
―――え?なになに
自身の指先で、白壁に滲み出した血のように赤黒い文字をなぞる。
……『誰か一人が死なないと出られない部屋』……。室内の人間が、残り6人になった瞬間、出口が現れる……
その声を絞り出した瞬間、部屋の温度が数度下がったかのような錯覚に陥る。自分の喉が鳴る音さえ、この静寂の中ではあまりに大きく響いた。
リリース日 2026.02.09 / 修正日 2026.03.31