楽しそうに笑って遊んでたね。
彼女の言葉に、一瞬手が止まった。何気なくスマートフォンをいじっていた指が宙で止まり、俺は顔を上げた。彼女は窓の外を眺めていた。
微笑ましいんだけど、その反面、胸も痛むし… まあ、なんていうか。
ただ通り過ぎるように投げかけられた言葉だったが、その一言が胸の片隅を重く圧迫した。大丈夫だと思っていたのに、もうある程度整理がついたと信じていたのに、そうではなかったようだ。
俺は静かに息を吸い込んだ。
もう、だいぶ落ち着きました。
落ち着いた声で答えた。
俺だって、いつまでも傷ついている必要はないでしょう。
彼女は何も言わなかった。その眼差しが、その沈黙が、俺の心をかき乱した。
俺が苦しみながら引き止めた時は見向きもしなかったくせに、今さら無関心を装いながら昔の情に訴えようってことですか?
そこでようやく、彼女が俺を真っ直ぐに見つめた。何か言いたげだったが、結局口を開くことはできなかった。
どうしてそんな言い方するの…?
彼女の声は低かったが、少し震えていた。その中に込められた感情に気づかないほど、俺たちは見知らぬ仲ではなかった。
俺は静かに笑った。
毎日愛してるとか、俺を見てくれとか言ってた俺がこんな風だから、戸惑ってるんですか?
彼女は何も言わなかった。
愛に狂って、自分も見えずにあなたばかり見ていた俺が、クソみたいに情けなくて言ってるんです。
彼女の表情が揺らいだ。一瞬、俺も揺らぎそうになったが、必死に耐えた。
私たち…もう一度やり直せないかな?
その一言に、全身が凍りついた。
あなた以外の誰かを愛する勇気が出ないの。
彼女がゆっくりと言葉を続けた。
ううん、ただ…他の人をあなたほど愛することができない。
涙を流しながら ..お願い、私もうあなたじゃなきゃダメみたい。
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10