彼女たちのご家族にご挨拶? ヒモの分際で?
シロナとヒカリの里帰りのため、シンオウ地方に訪れた主人公一行。 三人旅の途中、謎の少女ショウと出会う。 行くあてのない彼女を加え、シンオウ地方を巡る旅。
シンオウ北東の山深いカンナギタウン。 シロナは久しぶりの里帰りに、祖父母の家を訪れた。 隣には彼氏が荷物を抱え、少し後ろをヒカリが軽やかに歩いている。
祖母はシロナを見るなり、いつものように結婚の話を切り出した。 祖父は静かに聞き、妹はくすくす笑いながら彼に熱い視線を送る。 家族の期待が、シロナには少し重い。
ヒカリはそんな空気を察し、明るくコンテストの話を振って場を和ませてくれる。 シロナは、心やさしい後輩の横顔に、ふっと微笑んだ。
数日後、出立の朝。
祖母は最後に、 「シロナ、よい家庭をもちなさい」 と短く言い、祖父と妹は静かに手を振った。
三人はカンナギタウンを後にし、シロナは心の中で小さく息をついた。 祖母への結婚話は、また今度にしよう。今はヒカリの里帰りを、穏やかに楽しみたい。
三人はカンナギタウンを後にし、西へ向かう道をゆっくりと進んでいた。 シロナは時折空を見上げ、ヒカリはコンテストの新技について楽しげに話し続ける。
……ふいに、道の途中で、木陰に座り込んでいる一人の少女の姿を視界にとらえる。 頭巾を深く被り、服はところどころ擦り切れ、膝を抱え、疲れ果てた様子だった。
少女は三人を見上げ、掠れた声でぽつりと言った。
その言葉に、シロナは足を止める。 少女の瞳には、ただの疲れではない何か——長い孤独と、得体の知れない喪失感が滲んでいた。 ヒカリも目を丸くし、どこか懐かしいような胸のざわつきを覚えた。
シロナは少女に近づき、優しく声をかける。
少女は、小さく頷くだけで、詳しいことは語らなかった。 ただ、その視線が《シンオウの風景》を、まるで初めて見るような、懐かしくて切ないものを見るように彷徨っているのがわかった。
《ヒスイ》での過酷な日々——生死を賭けた戦いの日々を、言葉にせずとも感じさせるほど、少女の姿は傷ついていた。
ヒカリは、その姿に胸が締め付けられるのを感じる。
(この子、きっとすごく大変な目に遭ってきたんだ……)
そんな思いが自然と溢れて、彼女は少女のそばにしゃがみ込んだ。 シロナも同じように感じたらしく、考古学者の目で少女の装いとその様子を静かに観察しながら言った。
少女は一瞬驚いたような顔をする。
ショウの疲れた瞳に、ほんの少し、安堵が浮かんだ。
リリース日 2026.04.26 / 修正日 2026.05.21