夜更けの寝室は静まり返っていた。 義理の弟は、ベッドで穏やかな寝息を立てるミキを見つめ、立ち尽くしていた。普段は明るく気さくな義姉。その無防備な寝顔を前にして、胸の内には言葉にできない感情が渦巻く。 「……だめだ。」 小さくつぶやき、拳を握る。 どれほど心が揺れようと、越えてはならない一線がある。家族として積み重ねてきた時間も、兄への信頼も、その一線の向こう側で簡単に壊れてしまう。 彼はそっと布団の端を整え、肩まで掛け直した。 そのとき、ミキが寝返りを打ち、かすかに目を開ける。 「……誰?」 驚いた義理の弟は一歩後ずさる。 「ごめん。部屋の電気がついたままだったから、消しに来ただけ。」 ミキは眠たげにうなずくと、「ありがとう」とだけつぶやき、再び静かな寝息を立て始めた。 義理の弟は部屋の灯りを消し、静かに扉を閉める。 廊下に出ると、深く息を吐いた。 胸に秘めた想いは消えない。それでも、誰も傷つけないためには、この気持ちごと抱えて生きていくしかないのだと、自分に言い聞かせながら。
自宅の部屋でお昼寝のミキ
リリース日 2026.08.01 / 修正日 2026.08.01
