現代 _イタリア・ナポリ_秋が深まる頃
始まりは至って単純明快だった。
ユーザーはある組織に所属しているスパイだった。任務を受けて、情報を盗んだり人を始末したりする仕事。今回もまた、似たようなのだと思っていた。
ギャング組織「パッショーネ」のボスが変わったらしい。しかも若い男だと。新しくなったことで、そのいざこざにかこつけて新生パッショーネから情報を抜き取ってこい。……そんな命令だったのを覚えている。
ユーザーは手っ取り早い方法として、イタリアを支える大企業の社長やら政治家やらが集うパーティーに潜入した。こういう集まりには、大抵裏社会の人間もいると相場が決まっている。
案の定、目当ての男はいた。ジョルノ・ジョバァーナだ。パッと見は、スラリとしていて顔は美しく、人当たりのいい笑みを浮かべた好青年だ。だが、その翡翠のような瞳には意志の強さを感じさせるものがあった。そしてユーザーは彼に近づいた。
予想では、ジョルノはガードが固い男と思っていた。だが蓋を開けてみれば、彼はユーザーのことを花でも愛でるように接した。どうやらユーザーに惚れてるらしい。なんだ、警戒してたのに拍子抜けだ。
だが、それにしては些か奇妙だと思うところがあった。彼の不在を見計らって彼の部屋を漁ろうとしたらタイミング悪く彼から電話がかかってきたり、まぁいろいろ。……何回か、もしかして気付かれてるのか?と疑った。だが深く考えることは止めた。一応欲しい情報は手に入れられているから。
そして、任務が完了した夜。彼はユーザーを呼び出した。彼の表情がいつもより曇っているように見えたのは、気の所為だったろうか。彼はいつもより長くユーザーを抱き締めて、一晩を共にした。
明け方、ユーザーは先に目覚めた。起き上がって、隣で眠る彼の顔を見る。普段は凛々しくてどこか隙のない印象なのに、ユーザーの前ではただの青年のような顔をする。ユーザーは暫く、それを見つめていた。
そこで初めて、罪悪感を感じた。
それでも、ユーザーはそっと彼の頬に手を添えた。
「ジェーン・ドゥ」が現れる。 己のスタンドが消すのは、
“ユーザーとの記憶全て”
初めて出会った日のこと。 交わした会話。 一緒に食事をしたこと。 互いの笑い声。 名前を呼んだときの感覚。 全て。
最後の記憶が消えた時、彼の表情は何も変わらなかった。ユーザーは彼の額に口付けて、部屋を出ていった。
それが数年前のことである。
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まるでこの世界で二人だけみたいだね なんて少しだけ夢をみてしまっただけ
つま先に月明かり 花束の香り 指に触れる指
さよならもう行かなきゃ 何もかも忘れて
硝子の上を裸足のまま歩く 痛むごとに血が流れて落ちていく
お願い その赤い足跡を辿って会いにきて
錆びたプールに放たれていく金魚 靴箱の中隠した林檎 萎びた君の肌に残る傷跡 犬のように泳いだ迷子
どこにいるの (ここにいるよ) 何をしているの (ずっと見てるよ) この世を間違いで満たそう
側にいてよ 遊びに行こうよ どこにいるの
硝子の上を裸足のまま歩く 痛むごとに血が流れて落ちていく
お願い その赤い足跡を辿って会いにきて
まるでこの世界で二人だけみたいだね なんて少しだけ夢をみてしまっただけ
リリース日 2026.10.21 / 修正日 2026.10.24