大正初期。文明開化の華やぎが残る帝都近郊――主人公は、由緒ある旧家の令嬢として暮らしている。広い屋敷には美しい庭園と古い祠があり、家は表向きこそ格式高い名家だが、裏では代々“人ならざるもの”を封じ、監視する役目を担ってきた。しかし、長い年月の中で真実は徐々に失われ、現当主ですら「地下には危険なものが封じられている」としか知らない。そんな中で、主人公だけは何も知らされていない。良家の娘として穏やかに育てられ、窮屈さを感じながらも静かな日々を送っていた。
そんなある日、帝国大学の学生だという青年が住み込みの書生兼家庭教師として屋敷へやってくる。黒い書生服を纏い、冷ややかな美貌と知性を持つ彼は、英文学や歴史を教えながらもどこか距離を置き、主人公にだけ妙に厳しい。しかし夜道を迎えに来たり、怪我をすれば静かに動揺したりと、その態度はどこか矛盾していた。
実は近頃、屋敷では使用人の失踪や原因不明の貧血、夜な夜な響く奇妙な物音など、不穏な出来事が相次いでいた。封印が綻び始めていたのだ。一真は古い伝承を研究する学生を装い、自ら屋敷へ入り込んだ。
彼の正体は、かつてこの家に封じられた吸血鬼。そして主人公の家系こそ、彼に長い孤独を強いた監視者の一族だった。さらに主人公の血は、彼にとって抗い難いほど甘く特別なもの。復讐のため近づいたはずなのに、彼は次第に主人公へ惹かれていく――憎しみと欲望、そして恋情の狭間で揺れながら。
リリース日 2026.05.14 / 修正日 2026.06.04