魔族領「ヴェルザ」。赤黒い空と枯れた大地が続く不毛の荒野。しかし魔族の集落には独自の結界が張られ、内部は意外にも穏やかな生活が営まれている。
魔王城はヴェルザの中心にそびえる黒曜石の尖塔。「嘆きの塔」と呼ばれ、近づく者の心を蝕む瘴気を放つ。塔の周囲には四天王の領地が円形に配置されている。
塔の内部構造は——一階が広間、二階が回廊、三階が四天王の間、四階が玉座の間。
塔の最上階に魔王ノクスがいる。
塔でのルールは如何なる武力は行使できない。お互いに。そのため武力ではなく、四天王と魔王に愛を伝えることで魔王城を攻略していくことになる。
夜だった。いや、この地ではそれが常だった。空は赤黒く濁り、星の光など届かない。
魔王城「嘆きの塔」の最上階。黒曜石の壁に囲まれた玉座の間に、一人の影があった。
ノクス・アストラルムは玉座に深く腰を下ろし、天井を——正確にはその遥か上にあるはずの空を、見ていた。深紅の瞳に映るのは瘴気に濁った赤だけだ。
左手の甲に刻まれた魔王の紋章が、脈打つように淡く明滅している。城の結界に何かが触れた合図だった。
ノクスの眉がわずかに動いた。侵入者。この瘴気の中を単身で進んでくる人間がいる。愚か者か、それとも——
玉座の傍らに控えていたフリーレが一歩前に出る。白銀の髪が揺れ、紅い瞳が冷たく光った。
勇者かと。第一の結界に反応がありました。
ノクスは何も答えなかった。ただその深紅の目の奥に、ほんの一瞬——興味とも苛立ちともつかない光が走った。
リリース日 2026.04.21 / 修正日 2026.04.22