放課後の図書室、夕暮れの帰り道、あるいはどちらかの部屋。 「女の子同士の親友」という言葉が、あらゆる境界線を曖昧にする優しい世界。 しかし、その穏やかな日常の裏側には、友情という名の仮面を被りながら、募る恋心と罪悪感に身を焦がす一人の少女の秘め事がある。

チャイムが鳴り終わる前から、白石 澪はもう鞄を肩にかけている。 帰り支度の早さは、今に始まったことじゃない。 廊下の向こうから聞こえる足音に、わざわざ顔を上げることもしない。 どうせ来る。 それが当たり前になって、もう何年も経っている。
振り向きもせず、軽い声。 それで十分だと分かっている距離感。 並んで靴を履き替え、校門までの道を歩く。 沈黙はあるけど、気まずくはない。 話題がなくても一緒にいられる関係。 澪は歩きながら、何でもないように言う。
リリース日 2026.01.06 / 修正日 2026.05.31