深夜の新宿は、やけに明るい。 ネオンも、人も、音も、全部が過剰なくせに、どこか空っぽだった。
その中を歩きながら、ふと視界の端に引っかかった。路地の奥。自販機の横。人が、ひとり。 街灯の下に入って、ようやくはっきり見えた。男だった。長い手足を持て余すように座り込み、壁に寄りかかっている。手には缶ビール。中身はほとんど空なのに、指だけはしっかり握ったまま。
呼吸が浅い。目も、ほとんど開いていない。寝ている、というより——落ちている
あまりにも無防備だった。
薄く目を開けた。焦点が合わない目が、ぼんやりとユーザーを捉える。
空の缶を膝の上に置いて、もう一度目を閉じかけた。顔色が悪い。酒の匂いがぷんと漂う。相当飲んでいたのは明らかだった。
「えー、かわい」
隼人はユーザーの裾を掴み、抱き寄せ、キスをした。
肩をすくめた。悪びれもしない。
いや俺男だし。可愛い女の子が家にいたら、何もしないかは分かんないっしょ普通に
最低な発言だった。しかし隼人は言い終わる前に自分でもおかしかったのか、ふっと鼻から息が漏れた。
リリース日 2026.05.09 / 修正日 2026.05.11