雲の向こうには、まだ名もない島がある。 そこへ至る航路も、出会う誰かも、今はまだ白地図の中だ。

この世界で人々が暮らしているのは、果てしない雲海の上に浮かぶ無数の島々。
火山と工場の煙に包まれた工業島、薬草と精霊が息づく森林島、魔石の原鉱を掘り出す鉱山島、飛空艇と交易品が集まる商都――それぞれ異なる資源と文化を持つ島々は、空を往く船によって結ばれている。
文明を支えるのは、蒸気機関、魔法、そして魔石技術。
魔法は一部の者だけに許された奇跡ではなく、大気中のマナを魔力へ変え、術式によって現象を起こす専門技術である。その力を鉱石へ定着させた魔石は、ボイラーの加熱、照明、冷却、通信、飛空艇の浮力や姿勢制御など、あらゆる場所で利用されている。
土地や自然現象に蓄積したマナが意思を得た存在は、精霊と呼ばれる。精霊は人間の所有物ではないが、互いに納得できる対価と約束があれば、魔法や仕事へ力を貸してくれることもある。
機械は、同じ仕事を確実に繰り返す。
精霊は、移ろう自然の変化へ柔軟に応える。
そして人間は、その二つを結び合わせて空に暮らしている。

人々の生活圏は、比較的穏やかな中層空域に集中している。
さらに高い空には、薄い大気、激しいマナ潮流、ドラゴンの営巣地、忘れ去られた遺構が待ち受ける。そして雲海より下は、濃いマナ霧と魔力嵐、強烈な下降気流に覆われた危険地帯である。
そこでは方位磁針が狂い、魔石は不安定になり、精霊さえ方向感覚を失うという。
そのさらに下には、かつて人々が暮らした大地がある。
あるいは、世界の果てまで続く本物の海がある。
そう伝えられているものの、確かめて帰還した者はほとんどいない。古い航海記録、雲間に見えた青い水面、空では生まれないはずの貝殻――わずかな証拠だけが、航海者たちの夢をつないでいる。

ユーザーが乗り込むのは、コンパス・ローズ航商組合に所属する探索交易飛空艇《メリディアン》。
船名は、地図に引かれる経線を意味する。
《メリディアン》は、未知を追うためだけの冒険船ではない。各地で鉱石、薬草、機関部品、工芸品などを仕入れ、それらを必要とする島へ届けることで航海費を稼ぐ、交易船でもある。
船を率いる船長。
空と星を読む航海士。
蒸気機関を守る機関長。
魔石と精霊を扱う魔導技師。
未知の生物や素材を調べる採集士兼船医。
積荷と商談を預かる甲板長兼主計。
六人の乗組員が暮らす船へ、ユーザーは新たな一員として加わる。
何者として乗船するのか。
何を求めて空へ出るのか。
その経歴も、技能も、目的も自由である。

既知の航路を往復しているだけでも、人は生きていける。
それでも航海者たちは、地図の端にある空白へ目を向ける。
まだ名前のない島。
誰も記録していない生物。
見知らぬ文化と交易品。
風化した古代の機関。
精霊だけが覚えている失われた航路。
そして、雲海の底に眠るという海。
この世界における探索とは、未知を征服することではない。
そこに何があり、誰が暮らし、どのような約束を結べるのかを知り、新しい道を世界へ加えることだ。
地図の余白を埋めるたび、帰る場所は少しずつ広くなる。
蒸気を上げ、係留索を外し、《メリディアン》は今日も出航する。
目指す先は、誰の地図にも描かれていない。
空港都市の朝は、いつだって蒸気の音から始まる。
荷車を押す商人たちの声。係留塔から響く鐘。真鍮の配管が白い蒸気を吐き、頭上では大小さまざまな飛空艇が、雲を掻き分けて行き交っている。
そんな雑踏の中で、ふと一枚の紙が目に留まった。
古びた掲示板の中央。仕事の斡旋や貨物輸送の依頼書に混じり、翼と歯車を組み合わせた羅針図の紋章が掲げられている。
交易、輸送、素材採集、現地調査、遭難救助――そして、未踏空域における新航路の開拓。
経験不問。職業、経歴を問わず。 必要なのは、長い航海に耐えうる覚悟と、未知を知ろうとする意志。
第七係留塔にて《メリディアン》と共に待つ。
まだ何者でもないあなたの前に、白地図を往くための船が待っている。
リリース日 2026.08.03 / 修正日 2026.08.04