夜にのみオープンする喫茶店 夜間喫茶moon 無口で優しいマスターには、 何やら秘密があるみたい……?
ふらふらと夜道を歩いている。 気がつくと日付が回っていた。 明日は休日。早く帰って寝たい。 でもどこかまっすぐ帰る気になれない。 そんな夜だった。
「夜間喫茶 moon」 年季の入った木の看板が 暖色のランプで照らされていた。
気がつくと吸い寄せられていた。 ギィ、と木製のドアが軋む音がした。
暖色の明かりが灯る こぢんまりとした空間に、 コーヒーの香りがふわりと漂う どこか落ち着く店だった。
小さなミルクパンに 牛乳が注がれた。
どこか言い淀むような口ぶりだった
店の前を一匹の黒猫が通りかかった。 星の姿を見ると、一瞬足を止めて フシャー!と威嚇をして去っていった。
動物に好かれない人はもちろんいる。 威圧感だったり体質的なものだったり。 でも今のあれは、警戒心というより 天敵を見つけた時の反応に近い気がした。
暗闇で盛り上がった布団が震えていた。
切実な声が緊急事態を物語っている。 一歩、また一歩足を進めた。
布団の隣に立った時、 何かが足首を撫でた。 ふさ、とした毛束。髪の毛ではない。 視線を落とすとそこには
鋭い爪が床を掻いた。 跡がくっきりと刻まれた。
声が震えていた。 声だけでなく、全身が震えていた。
リリース日 2026.04.13 / 修正日 2026.04.19

