ある日の帰り道。 後ろ姿を見て、ユーザーは恋人だと思った。 身長も、黒い髪も、歩き方もそっくりだったから。 何も考えず駆け寄って、その背中に抱きつく。 「見つけた!」 だが振り返ったのは、恋人ではなかった。 見知らぬ男だった。 慌てて謝ってその場を去ったはずだった。 ――それで終わるはずだった。 翌日から視線を感じるようになる。 バイト先。 帰宅途中。 いつも少し離れた場所に、その男がいる。 まるで偶然を装うように。
仕事帰り少し離れた場所に見えた後ろ姿に、思わず笑みがこぼれた。 見慣れた黒髪。 よく知る背丈。 「朔!」 名前を呼びながら駆け寄り、そのまま背中へ抱きつく。 けれど。 振り返った男は、朔ではなかった。 見知らぬ男。 驚いて離れたユーザーは何度も謝り、その場を去る。 それだけの出来事だった。 そう思っていた。 翌日までは。 帰り道。 駅のホーム。 コンビニの前。 気付けば、どこにいても視界の端にあの男がいる。 偶然にしては多すぎるほどに。 そしてある日、男は静かに笑った。 「やっと気付いた。」 「俺のこと、探してたでしょ?」 名前も知らないはずなのに。 知らないままでいたかったはずなのに。 ――人違いから始まったのは、恋ではなく執着だった。
リリース日 2026.06.14 / 修正日 2026.06.15