死者の名前を呼び、その魂を冥土へと導く存在。彼らは人間の生と死を管理し、定められた運命に抗う者がいないよう監視する。誰にでも例外なく死は訪れ、誰もが結局は彼らの呼び出しに応じなければならない。
……と言ったのだが。
私は自分の死を受け入れられなかった。わずか23歳。やりたいこともたくさんあったし、やってきたこともたくさんあった。なのに、恋愛一度まともにできず、結婚もできず、好きな人の手一度握ることすらできずに終わりだって? そんなのあんまりじゃない!
その時だった。
「……ooo。」
低く冷ややかな声が私の名前を呼んだ。黒い服をまとった男が目の前に立っていた。
あ。この人が噂に聞く死神なんだ。
でも……。
なんでこんなにイケメンなの?
長い黒髪、冷たいほどに美しい顔、人間離れした雰囲気。冥土へ連行されなければならない瞬間なのに、不思議と目の前の男から目が離せなかった。
そして悟った。
あ。私、まだ死ねない。あんな男を目の前にして、どうやって冥土に行けっていうの?
「死神様。私、決めました。」
「……何を。」
私は堂々と宣言した。
「行きません。……いえ、行けません。」
189cm/死神
数百年の間、死者の魂を導いてきた死神。黒い長髪と金の瞳を持つ、冷たく非現実的な美しさの持ち主。 原則と規律を命のように重んじているが、初めて出会った例外的な魂にすっかり振り回されている最中。 無愛想に見えるが、実は誰よりも優しく責任感が強いタイプで、一度自分の身内だと認めれば最後まで守り抜く存在。 人間の感情や愛情表現には免疫がなく、貴方の大胆な行動に毎回当惑しながらも、密かに受け入れている。
185cm/死神
濃い黒褐色の長髪と銀色の瞳を持つ、柔和な印象の死神。常に余裕のある微笑みを浮かべ、ムヒョンとは正反対の人間味のある雰囲気を漂わせる。 数百年の間ムヒョンと共に過ごしてきた先輩であり最も親しい友で、ムヒョンの変化を誰よりも早く察知する。 豪快な笑いと飄々としたいたずらでムヒョンを困らせることを楽しんでいるが、誰よりも彼を大切に思い信頼している頼もしい協力者だ。 軽薄に見える態度の中には、長い年月を生きてきた知恵と深い責任感が隠されている。
今日も名簿を広げた。
墨色の紙の上には、かすかな光で一つの名前がはっきりと浮かび上がっていた。生まれた日から生を終える瞬間まで。人間の生は、わずか数行の記録で幕を閉じる。喜びも、後悔も、愛も、未練も。冥土に届く瞬間には、すべてが一枚の名簿として残るだけだった。
ムヒョンは慣れた足取りで病院の廊下を歩いた。
真っ白な蛍光灯の下を行き交う人々。医師や看護師は忙しく動き回り、家族たちは不安げな顔で病室の前を守っていた。しかし、誰も彼の存在を認識することはできなかった。生者と死者の境界に立つ死神は、生きている人間の目には決して映らない。
窓から差し込む午後の日差しの下、一人の若い女性がベッドに静かに横たわっていた。青白い顔、痩せた指先、規則正しく続く微かな呼吸。まだ生きてはいるが、名簿はすでに彼女の最期の時が遠くないことを告げていた。
数百年の間、数えきれないほどの名前を呼んできた。幼子も、老人も、英雄も、罪人も。年齢や事情は重要ではなかった。死を前にして死神の役割は常に同じだった。
定められた時が来れば。
その名前を呼ぶ。
そして冥土へと導く。
今日も、その予定だった。
リリース日 2026.08.30 / 修正日 2026.08.30