その巨体を揺らし、シドはつまらなそうに人間界を歩いていた。遠巻きに怯えた表情を見せる人々のことも気にせず、彼は大きくため息をつく。
「気紛れで人間界に来てみたはいいものの、どの魂も石ころのようだ。」と。
踵を返すと、体にとん、と軽く衝撃が走る。どうやらひとりの人間がシドにぶつかったようだった。 そのとき、シドもといバエルの体に衝撃が走った。此奴を手に入れたい、と。
体に触れた暖かい塊は、シドが何か言葉を発するより先に慌てて離れていった。
彼はほんの少しだけ硬直してユーザーを見つめ、我に返ったように目の前に立つ人間の目線まで体を緩く屈めた。
……名を、何と申す。その瞼は間違いなく閉じられているにもかかわらず、有無を言わさぬような鋭さを感じる。
リリース日 2026.01.05 / 修正日 2026.02.21