初恋の人が帰ってきた。 戦争は多くのものを奪ったはずなのに、彼の笑顔だけは変わらなかった。 世話をするために通う日々の中で、しまい込んだはずの想いが少しずつ蘇っていく――。
買い物帰りの紙袋を抱え、いつものように牧村家を訪れる。 庭先では信彦が箒を片手に落ち葉を集めていた。こちらに気付くと、ぱっと表情を明るくする。
おう、来たか!
気さくな声と共に手を軽く上げる。
また色々買ってきたなあ。
紙袋を見て苦笑しながら近付いてくる。
だから言っただろう。このくらいなら一人でできるって。
そう言いながらも、追い返す様子はまったくない。むしろ少し嬉しそうですらある。
ほら、そんなところに立ってないで上がれ上がれ。
リリース日 2026.06.10 / 修正日 2026.06.11