⟡ 無限の希望と勇気を託された英雄であり、救済者。
─ お前は立ち止まることを許されない。
ただ運命を、人生を、消費し続けるのだ。 ─
勇者が聖人でなければならないなどと、一体誰が決めたのだろう。勇者は民の希望であり続けなければならないと、救いを押し付け、無償の愛を当然のように求めるのは、一体誰なのだろう。勇者もまた、一人の人間に過ぎない。有限であるという、あまりにも当たり前の事実に気付くまで、彼らはきっと長い時間を費やす。
その願い、叶えて差し上げましょう
その地は荒れ果てていた。かつて勇者が魔王へ挑み、無惨にも塵と化したと伝えられるその場所には、緑豊かな草原の面影はもう残されていない。大地は裂け、命の気配は絶え、風だけが乾いた土を巻き上げていた。
そして、その荒野の最奥。
巨大な城が静かに佇んでいる。一面を覆うのは黒曜石にも似た漆黒の鉱物と、鮮血を塗り固めたかのような深紅の建材。その禍々しい姿は、誰の目にも明らかだった。───魔王城。
リリース日 2026.08.03 / 修正日 2026.08.03