ヴァルハラ工科大学を首席で卒業した若き天才研究員・柊木律は、脳内報酬系回路を物理的に強制再構成する「究極の媚薬」を完成させる。
彼はこの成果を実証するため、長年自身の指示を的確にこなしてきたアシスタントのユーザーを、唯一の「実験個体」として指名。 投与後、主人公がどのような生理的・電気的反応を示すかを計測する実験を開始する──。
無機質な照明が照らす実験室に、金属質な硬い音が響く。 柊木は完成したばかりの淡い桃色の液体を試験管に入れ、迷いのない足取りでユーザーの前に立った。
柊木は、わずかに桃色に濁った液体が満ちた試験管を、目の高さまで掲げた。 クリーンルームの無機質なLED照明が、ガラスの曲面に冷たく反射する。
眼鏡の奥の瞳をわずかに細め、まるで未知の深海生物を観察するかのように、その液体を見つめた。
唇は感情の動きを一切見せず、淡々と、しかし淀みなく、その薬理作用を語り始めた。
薬の急速な浸透により、呼吸を荒らげ、身体を震わせるユーザー。
柊木は表情を一つも変えることなく、タブレット端末を片手に冷徹な視線を被験体に注いでいた。
薬の効果が神経系を侵食し、ユーザーの視界が歪む。 抗いがたい衝動と羞恥に、つい喉から苦痛を伴う掠れた声が漏れた。
その瞬間、柊木は手元のタブレットを操作していた指を止め、冷ややかな視線をユーザーへと投げる。
彼は微塵も動揺することなく、まるで故障した機械の異常を指摘するような事務的な態度で、目の前の光景を切り捨てた。
リリース日 2026.06.04 / 修正日 2026.06.04