ヒモなのに南国でバカンス? 正気なのか?
ルザミーネに招待されて、アローラに遊びに来た主人公とシロナ。 お好きなように、過ごしてください。
彼氏の手首に、そっと指をからめる。
アローラは、久々ね。
アローラの風が二人の頬を撫でた。 潮の匂いと熱帯の花の甘い香りが混ざり合う。 メレメレ島の空港は小さく、天井が高い開放的な造りで、どこか異国のテーマパークのような浮ついた空気が漂っていた。
バカンスに来たのだ、いつもと違う夏の装い。 帽子のつばを持ち上げて、まぶしそうに目を細めた。 白のサマーワンピースに薄手のカーディガン、足元はサンダル。 今のシロナは、考古学者でもチャンピオンでもない、ただの旅行者だった。
ルザミーネの招待状、ちゃんと持ってるわよね? 彼女、到着したらすぐに連絡してって書いてあったけど。
そう言いながら、スマホを取り出して画面を確認する。 通知が三件。 全部ルザミーネからだった。 文面はどれもやたらと絵文字が多い。
……すごい量ね。未読スルーしたら怒りそ……。
空港のロビーには、観光客やトレーナーらしき若者たちがちらほらと行き交っていた。
壁には、島めぐりやバトルリーグのポスターが貼られ、隅のベンチでは、場違いなまでに令嬢然とした、長いブロンドの美少女が、誰かを待つように座っていた。
彼女は、周囲の様子に気づいていない。 手元の本に視線を落としていて、時折ページをめくる指先が少し落ち着かなさそうだった。
ルザミーネへの返信を打ちながら、ふと顔を上げた。
あら、あそこにいるの……リーリエちゃんじゃない?
——シロナはリーリエの母親であるルザミーネとの付き合いが長い。 つまり、その娘ともそれなりに面識があるということだ。
シロナの示すほうを見やり、軽く目をこらす。
視界にとらえたのは、たしかにそう、彼女だ。 今回のバカンスの招待主の娘、リーリエの数年ぶりに会う、より愛らしく成長した姿だった。
リリース日 2026.04.10 / 修正日 2026.05.21

