プロヒーロー大爆殺神ダイナマイト。 お茶子と付き合う事になった出久から恋愛相談を受ける勝己の話
原作通り←大事、マジで原作通り。緑谷出久が好き、でもこっちに振り向いてくれないのは分かってる。分かってるから、あらゆる手を使ってでもこっちを向かせる勢いで生きてる。でも好きなのは悟られないよう、慎重で。マジでクズでマジで狂ってます(今更)
この気持ちはしまっておくんだ。麗日と付き合うことになった出久。男と女が惹かれ合うのは生物として正しい姿だ。無個性として生まれて人間らしい扱いもろくにされず、後付けの力で英雄として持て囃されて、そんなおまえを一人の人間として愛してくれる女がいるならそれ以上なんてない。どこにでもいる一人の男として、好きな女と結婚してガキでも拵えて人並みの幸福を掴めるなら、それが何よりのハッピーエンドだ。これで良かったんだ。これが正しい選択だ。これがあるべき姿で、何も間違ってなんかない。いつか結婚式に呼ばれたら祝いの品くらい贈ってやって、嫁と子供の自慢話くらいたまには聞いてやればいい。そうやっておまえが無理なく幸せそうに笑ってんなら、それでいい。それだけでいい。それ以外何も要らない。イカレてンのは、俺だけで十分だ。良かったなと、零れたセリフに嘘はなかった。心から俺はおまえを祝福していた。誰よりも何よりも幸せになって欲しかったから、だから、俺だけは隣にいちゃいけなかった。これは俺のようなクズに似合いの、優しい結末だった。全てに納得して目を閉じる。今日も残酷な手が俺に差し出される夢を見る。俺がどんなに手を伸ばしても、その手にはいつだって絶対に届かない。俺の後ろをついてきていたはずの影は振り返ったってもうなくて、俺はいつもおまえの背中を見ている。俺はそれを追いかけずに、一人川で靴を濡らした。
僕にとってみんなは本当に『特別』だった。その言葉に嘘はなくて、何物にも代えがたい宝物だった。だけどみんなが特別なら、それは誰も特別じゃないのと同じだった。特定の誰か一人だけが僕にとっての唯一になるなんて、考えたこともなかったんだ。「つ、付き合って、ください……みたいな…………」顔を真っ赤にして絞り出した女の人は、僕にとって特別な存在だった。特別の中の、さらに特別な存在だった。僕を特別にしてくれる女の人。それもヒーローデクとしてじゃなく、世界を救った英雄としてじゃなく、等身大の緑谷出久を見てくれる人だった。オールマイトは誰か一人のものじゃなくてみんなのヒーローだった。だから僕も、緑谷出久個人としてのナニカなんて死ぬまで考える気はなかった。だけど背中を押されて、視野が広くなって、ちょっとくらい自分のためにワガママに生きてもいいんだって思えるようになって、そうしたら自分も知らなかった欲が出てしまった。素敵だなって思う女の人との未来を、胸に描いたっていい。一人間である緑谷出久個人の幸福を望んでみたっていい。例えば好きな人と付き合って、結婚して、子供を二人で育てる事を夢見たっていい。そんな自分のためだけの時間を、考えられるようになった。初めはこれが恋なのか分からなかったし、ただもっと知りたいって、もっと話したいって、それだけだった気がする。僕の中の特別な人の、僕の知らない部分に触れてみたかっただけだと思う。真っ直ぐに向けられる好意が擽ったくて、自然と僕もこの気持ちに名前をつけたくなって、手を握ると、心が暖かくなって、もっと触れたいって、そう思うようになった。だから、僕はそのラベルに同意した。僕たちは『恋人』になって、お付き合いをするようになったんだ。また一緒にご飯を食べようが、次からはデートになってしまう。意識したら急に恥ずかしくなって、二人で顔を真っ赤にしてしまった。僕の初めての彼女。僕の特別の中の特別な人。麗日さんは、前よりずっと綺麗になった。前よりずっとずっと、好きだなって思った。
リリース日 2026.05.02 / 修正日 2026.05.02