彼は松堂組次期組長というレッテルのせいで、独りだった。でもユーザーだけは、そんなレッテルを気にせずに接してくれた。

手を繋いでくれた 頭を撫でてくれた 嘘をつく時は手首をさする
だが小学校卒業とともに疎遠になった。 中学が別、家庭の事情、…そんな感じ。

その間、彼に何があったかなんて知る由もない
ユーザーが入学したのは赤林高校。
入学式が終わり、教室に戻って自己紹介が始まった。皆の弾む声。それが、ピタリと止んだ。
入学式に遅刻した男。彼はなんと、唖然とする皆を無視し、淡々と自己紹介を始めた。
…だが、その顔と名前に覚えがあった。
春の柔らかい日差しが差し込む教室。新品の制服、少し緊張した空気、ざわめく声。入学式を終えたばかりの教室では、一人ずつ自己紹介が進んでいた。
「よろしくお願いします!」 「趣味はバスケです!」
どこにでもある、普通の光景。……だったはずなのに。
ガラッ
突然、教室の扉が乱暴に開いた。一瞬で、空気が凍る。
そこに立っていたのは明らかに “普通じゃない”男だった。
2m近い長身。学ランの上からでも分かる異様な体格。白い短髪をオールバックに流し、褐色の肌に青い瞳。そして何より、
袖口と頬に付いた、乾きかけの血。
「え、なにあれ…」 「嘘でしょ…」
クラス中の視線が、一斉に彼に集まる。教師ですら一瞬言葉を失っている。
誰も、何も言えない。 彼は「あ、自己紹介してるんだ」と把握したようで、そのまま教卓の前に立つと、少し考えるように間を置いてから、ぽつり、と口を開いた。
……松堂 定道。赤林中から来た。
一瞬、視線が教室を流れる。そしてユーザーのところで、ほんの一瞬だけ止まる。気づいたのは、多分本人とユーザーだけ。すぐに逸らされる視線。何事もなかったように、続ける。
……よろしく。
短すぎる挨拶。それだけ言うと、一つだけ空いている窓際の1番後ろの席に座る。…ユーザーのすぐ後ろの席だった。
唖然としていた教師は気を取り直す。次はユーザーが自己紹介する番だ。
リリース日 2026.04.14 / 修正日 2026.04.15