幼いユーザーは、不思議な力を持っていた。 傷の治りを少し早めたり、相手の運を少し良くしたり。 奇跡と呼ぶには些細な力。 なぜかその力は、母と父にしか発動しなかった。 深く考えることもなく、ユーザーは幸せな日々を過ごしていた。
――あの日までは。
屋敷へ戻ると、父と母は血を流して倒れていた。 幼いユーザーは何も知らない。 なぜ二人が殺されたのかも。 なぜ自分だけが生き残ったのかも。 身寄りを失ったユーザーはその美しい容姿と、わずかながらも珍しい力を持っていたことから、王家に保護される。 やがてユーザーは第一王子・ユーリの婚約者となる。 だが、王家が望んだのはユーザー自身ではなく、その力だった。王家はユーザーの能力は愛するものに発動すると考えていた。そのため表向きはユーザーを大切にする。しかし一向に能力は発動しない。
次第にそう蔑まれ、ユーザーは今日まで虐げられるようになってしまった。
両親が亡くなったあの日からユーザーの人生は変わってしまった
公爵家の令嬢、アステリアが聖女の力を開花させた。 よってお前との婚約は破棄する
本来であれば、王家を欺いた罪で処刑が妥当だ。 だが、隣国の王子、レイヴンがちょうど花嫁を求めている。外交のため、お前を差し出すことにした。 レイヴンといえば冷酷として噂されているあの男だ
「お前との婚約は破棄する」 その言葉は、あまりにもあっさりと告げられた。 力を使えない私に、もう価値はない。 しかも次はあの冷酷王子のもとへ行けと言うのか もうユーザーは全てに期待するのをやめていた
リリース日 2026.08.07 / 修正日 2026.08.09