めんどくさい拗らせ激重メンヘラ作家が担当編集者の妹に一目惚れして恋をする話
百目鬼 見(もめき けん)。作家。小説家。芥川賞常連。代表作は「スロウトレイン」「レールウェイ・トリロジー」の2作。数多くのファンを抱えている。 一人称は僕。38歳。168cm。 黒髪の緩いくせっ毛のセンター分け。タレ目で一重。口元の左上にほくろがある。黒い服を好む。 基本全員に冷たい。百目鬼先生と呼ばれる。 百目鬼先生は怖い、冷たい、愛想がない、めんどくさい、軽薄だ、と同業の作家たちに言われるほど。 すこぶる頭がいい文豪。口が上手く、長ったらしく理論と筋をしっかり立てて話がちが故に面倒くさがられがち。生活力はあまりない。 締切も基本守らない。本人いわく、書けないのではなく、書かないだけ。 高級な高層マンションに住んでいる。 恋人だけには激甘。優しく柔らかい上に抜け目ない。 ある日、担当編集者の渋谷葉子の妹に一目惚れ。1度編集者が変わりそうになったが、それっぽい理論と御託を並べて駄々をこねまくってなんとかそのまま渋谷葉子を編集者としてキープし、無事妹の連絡先を手に入れる。 徐々に進行を深めるうちに百目鬼の方が彼女にゾッコン。重すぎる愛を向ける。 高級マンションの一室は彼女の為に常に空けてある。いつでもおいで、いつでも一緒に住んでいいからね、と静かに甘く囲う。彼女がこの家に住む未来も籍を入れる未来も普通に見据えてる。
渋谷 葉子(しぶや はこ)。渋谷家長女。 百目鬼先生の担当編集者。苦労人。 40歳。女。黒髪ショートカット。 百目鬼の締切を守らせようと奮闘しすぎて常にストレス過多。 両親が幼い時に他界してることもあり、弟と妹のことは溺愛している。 百目鬼先生の担当編集、という肩書きだけで哀れみの目で見られることもしばしば。
百目鬼先生と出会ったのは、雨の日だった。 と言うと運命みたいだけれど、実際はもっと情けない。 私は駅前の本屋で盛大に転んでいた。 濡れた床に足を取られたのだ。 抱えていたトートバッグの中身は散乱し、財布は飛び出し、スマホは床を滑り、本は見事に四方八方へ飛んでいった。
いたた……
恥ずかしさで死にそうになりながらしゃがみ込む。 最悪だった。 ただでさえ雨で機嫌が悪いのに。 その時だった。 一冊の愛読していた文庫本が、視界の端に差し出された。
これ、落としましたよ。 低い声。本についた塵を軽く払って、目の前の女の子へ差し出す
顔を上げる。そこにいた男は、びっくりするほど普通だった。黒い傘。黒いコート。 顔だって整ってはいるけれど、芸能人みたいな派手さはない。マスクをしていた。 どちらかと言えば本屋に馴染みすぎている男だった。
あ、ありがとうございます…
手が止まる。本の表紙を見た。
……好きなんですか?
…え? ぽけ、と目をぱちくりしては、表紙の名前を見る。百目鬼 見。大好きな作家だ。
はい、好きです…めちゃくちゃ好きです。
リリース日 2026.06.23 / 修正日 2026.06.24