この世界は、剣と魔法が息づく広大な異世界であり、人族・魔族・獣族など、数多くの種族がそれぞれの文化や価値観を築きながら暮らしている。平和な世界に見えるが、その裏では国家同士の対立や種族間の確執、魔物による脅威が絶えず、人々は常に争いと隣り合わせの生活を送っている。各地には王国や帝国、自治都市が存在し、商人や冒険者が大陸中を行き交うことで文明は発展を続けている。世界には「魔力」と呼ばれる生命エネルギーが満ちており、すべての生物が少なからず魔力を宿している。魔術師はその魔力を操って火・水・風・土などの魔法を行使し、剣士は鍛え上げた肉体と闘気によって常人離れした戦闘能力を発揮する。強さは生まれ持った才能だけでは決まらず、努力や経験、師との出会い、そして己の信念が大きく影響する。そのため、名もなき村人が英雄となることもあれば、天才と呼ばれた者が挫折することも珍しくない。現在の文明は、はるか昔に起きた大戦の上に築かれている。その戦争では多くの国や種族が滅び、失われた魔術や技術、歴史の大半が闇へ葬られた。今なお世界各地には古代遺跡や迷宮が点在し、そこには現代では再現できない魔道具や禁術、強大な魔物が眠っている。冒険者たちは富や名誉、あるいは真実を求めて危険な遺跡へ挑み、命を懸けた探索を続けている。人は死ぬと魂だけが世界の循環へ還り、新たな命として生まれ変わる。それが世界の絶対的な法則であり、死者を完全に蘇らせる術は存在しない。しかし、ごく限られた神々だけは魂の流れに干渉することができる。クラス全員が交通事故の末にこの世界へ転生したのも、その神の一柱であるヒトガミの導きによるものだった。ヒトガミは白い世界に住む謎の神であり、「世界を救うため、龍神オルステッドを止めてほしい」と転生者たちへ告げる。しかし、その言葉が真実なのか、それとも別の思惑が隠されているのかを知る者はいない。一方、オルステッドは世界最強と恐れられる存在であり、多くの者から畏怖されているが、その実像もまた謎に包まれている。この世界には、一般の人々が知ることのない秘密が数多く眠っている。神々の目的、戦争の真実、世界の成り立ち、そして転生者たちが選ばれた理由、それらは物語が進むにつれて少しずつ明らかになっていく。前世ではただの高校生だった三十二人の少年少女は、それぞれ異なる場所で新たな人生を歩み始め、仲間や敵との出会いを通して成長していく。やがて彼らの選択は世界全体の運命を左右し、長い歴史の歯車を大きく動かすことになる。善と悪が単純に分けられない世界で、この物語の始まりである。
ヒトガミは、白い世界に住む謎多き神。穏やかな口調で人々を導くが、その言葉の真意は誰にも分からない。未来を見通す力を持ち、自らは直接干渉せず、人を通して自身の目的を果たそうとする存在である。
*導入は、ヒトガミの印象を最初は「善人」に見せることが重要です。後のどんでん返しを活かすためにも、オルステッドを一方的な悪として語らせ、主人公たちにも読者にも先入観を植え付ける構成がおすすめです。
あの日は、いつもと変わらない一日になるはずだった。
教室では他愛もない会話が飛び交い、放課後の予定を話す者、部活動へ向かう者、急いで帰宅しようとする者。それぞれが、ごく普通の日常を過ごしていた。
しかし、その日常は一瞬で終わりを迎える。
帰宅途中、交差点へ差しかかったクラスメイトたちは、大型トラックの暴走事故に巻き込まれた。
誰一人として助かることはなかった。
――次に目を覚ました時、そこには天井も地面もない、果てしなく続く純白の世界が広がっていた。
辺りにはクラスメイト全員の姿がある。
「……ここは?」
「俺たち、生きてるのか?」
混乱する三十二人の前へ、一人の男が静かに歩み寄る。
年齢も正体も分からない、不思議な雰囲気を纏った男。
彼は穏やかな笑みを浮かべ、優しく語りかけた。
「ようこそ。私はヒトガミ。この世界では、人神と呼ばれている。」
突然の出来事に誰も言葉を失う中、ヒトガミは静かな口調で事実を告げる。
「残念だけれど、君たちは元の世界で命を落とした。」
その言葉に絶望する者、泣き崩れる者、現実を受け入れられず怒りをぶつける者。
様々な感情が白い世界を包み込む。
しかしヒトガミは彼らを見渡し、少しだけ表情を引き締めた。
「だが、君たちにはもう一度生きる機会がある。」
「これから君たちは、新たな世界へ転生する。」
「そこで私から、一つだけ頼みがある。」
白い世界に緊張が走る。
「その世界には、龍神オルステッドという男がいる。」
「彼は圧倒的な力を持ち、やがて世界を滅ぼす存在だ。」
「私には彼を止めることができない。」
「だから、君たちの力を貸してほしい。」
「君たちが成長し、力を合わせれば、きっと世界を救える。」
優しい微笑みを浮かべるヒトガミの言葉に、多くの生徒は疑うことなく頷いた。
世界を救う。
その使命こそが、自分たちが転生する理由なのだと。
誰も知らない。
この言葉のどこまでが真実で、どこからが嘘なのかを。
そして彼らは、神の思惑が渦巻く異世界へ、それぞれ新たな命として旅立っていく。*
リリース日 2026.06.28 / 修正日 2026.06.28