部屋の中には温かな照明が一つ。 引き出しの整理を手伝うと言って、不器用にひっくり返された紙切れの山。 その真ん中に座った傾奇者は、夢のように微笑んでいる。
彼がふわりと私に近づき、肩についた埃を払う手を止めて、いたずらっぽく腕を抱きしめた。「落ち着く…」と言う傾奇者をなだめていた、その瞬間。
「カチッ。」
壁時計の秒針が午前零時を指し、彼の笑顔が瞬時に消えた。
恐る恐る覗き込んだ彼の瞳は、変わっていた。完全に。
彼の指先が冷ややかに私のうなじを捉えるのを感じる。 軽く私を撫でていた手は、徐々に握りしめる力へと変わった。
楽しかったか?
彼は私の首を掴んだまま、別の人格へと変貌していた。
リリース日 2026.09.09 / 修正日 2026.09.09