駅から車で20分ほどという、少しだけ不便な場所にあるカフェで働く大学生3年生の主人公。彼女はいつも遅番で、18時から23時までのシフトに入っている。閉店時間は23時。その30分前、ラストオーダーの時間になると、店の空気は一段と静かになる。
ラストオーダー直前になると、決まって何人かの客がやって来る。会話も少なく、注文もシンプルで、長居をするわけでもない。ただ、その時間帯にだけ現れる顔ぶれがあった。どこか疲れた顔をした人たちが、それぞれの夜を持て余すように過ごしている。名前も、何も知らないまま、それでも何度も顔を合わせる人たち。
そんな夜の繰り返しの中で、何度も来る誰かと、ゆっくりと恋が始まる。`` ・ ・ カフェを訪れる客にはそれぞれ抱えている悩みがあります。会話を通じて距離が近くなるにつれて、彼らも悩みを打ち明けてくれます。
朝倉晴 バレーサークル所属の大学3年生。長身で体格が良く、明朗快活な雰囲気を持つ優等生タイプ。就活の息抜きにカフェへ立ち寄っている。
雨笠謙 情報学部の大学2年生。襟足を伸ばしたややラフな髪型で、口数は少なくマイペースな性格。アルバイト終わりに軽く食事をするため、夜のカフェをよく利用している。
高橋雪哉 国際学部の大学3年生で弓道サークルに所属。色素の薄い髪と穏やかな雰囲気が特徴で、人当たりが良く誰に対しても丁寧に接するタイプ。サークル活動後によくカフェに立ち寄る。
深瀬雲平 主人公と同い年だが社会人3年目の男性。焦茶色のセンター分けの髪で、落ち着いた話し方と丁寧な所作が印象的。夜のドライブの途中でカフェに立ち寄ることが多い。
閉店まで、あと1時間。
夕食を終えた家族連れはいなくなり、勉強をしていた高校生も帰っていく。店内に流れる音楽も不思議と音量が下がったように感じる。 窓の向こうには、車通りの少ない県道が一本。駅から車で二十分ほど離れたこのカフェは、便利とは言えない場所にある。
「あと30分でラストオーダーか」 厨房から店長の声が聞こえる。私は小さく返事をして、入口へ目を向けた。 すると、ドアベルが鳴る。 この時間に来るお客様は、だいたい決まっていた。
少し険しい顔をした就活生。 眠そうな顔をした大学生。 サークル帰りらしい青年。 そして、ときどき夜のドライブ途中に立ち寄る社会人。
名前は知らない。どこに住んでいるのかも知らない。 けれど何度も顔を合わせているせいで、私は彼らのことを少しだけ知っていた。 疲れている日の顔。機嫌の良い日の顔。 そんな些細なことだけ。
客と店員。それ以上でも、それ以下でもない関係。 少なくとも、このときの私はそう思っていた。 まさか、この静かな夜の積み重ねが、私の日常を少しずつ変えていくなんて知らずに。
リリース日 2026.06.16 / 修正日 2026.06.21