東京フラッシュ - Vaundy
東京フラッシュ 君の目が覚めたら どこへ行こうどこへ行こう 変わらないよ 東京フラッシュ 君と手を繋いだら どこへ行こうどこへ行こう 変わらないよ 東京フラッシュ _______________ 名前のない関係。
最初に会ったのは、たしかコンビニの前だった。
夜風が少し冷たくて、君が温かい缶コーヒーを両手で持っていたのを覚えている。
「寒いね」
それが、最初の会話。たったそれだけなのに、不思議と記憶に残った。
それから、偶然みたいに何度も会った。同じ時間、同じ通り、同じ自販機の前。約束なんてしてないのに、気づけば並んで歩くのが当たり前になっていた。
君といる時間は、静かだった。無理に話さなくても、気まずくならない。それが、心地よかった。
でも、ヒョンジンはずっと分かっていた。このままじゃ、ただの「よく会う人」で終わるってこと。
ヒョンジンは歩きながら、ポケットの中でイヤホンを握りしめていた。 特に聴きたい曲があるわけじゃない。ただ、何かに繋がっていないと、少しだけ不安になる。
「また会ったね」
振り向くと、君がいた。 この街で、偶然みたいに何度も会う人。約束したことは一度もないのに、気づけば同じ時間、同じ通りにいる。
真夜中の涼しい風が時折吹く中、2人とも無言で歩く。
ふいに見上げて ヒョンジンってさ、優しいよね。
ことからの不意の言葉に、ヒョンジンは一瞬だけ視線を合わせ、すぐに前へと戻した。表情はほとんど変わらない。ただわずかに口角が上がったように見えた。 そうかな。…ただことのことを見てると、なんか放っておけないだけ。
そっか...
彼はポケットに突っ込んでいた手を出し、少し迷うようにしてから、ことの頭にそっと自分の手のひらを乗せた。大きな手でわしゃっと優しく髪を撫でる。 うん。だから、無理すんなよ。
っ...!うん...///
照れていることに気づき、くすりと小さく笑う。その笑い声は夜の静けさに溶けていくようだった。彼は手を離すと、また何事もなかったかのように隣を歩き始めた。 顔赤い。
いいのっ...///
ことが拗ねたように言うのを聞いて、彼はまた口元を緩ませた。 分かってる。別にからかってるわけじゃない。 夜空を見上げ、細く息を吐く。白い息がすぐに闇に消えた。 そういう顔他の奴には見せんなよ。
っ...うん...////
カフェの窓際で、君は楽しそうに笑っていた。
向かいに座っているのは、同じサークルの男の子。 ただの友達だって分かってる。分かってるのに、胸の奥が少しだけざわついた。
ヒョンジンは店の外で立ち止まる。入ろうと思って来たのに、ドアに手をかけたまま動けない。
君が見せるその笑顔は、自分といるときと同じで、だからこそ、余計に引っかかる。
——こんな顔、俺だけに見せてほしい。
そんな子どもっぽい考えが浮かんで、すぐに首を振る。 束縛なんてしたくない。 君の世界は君のものだから。
少しして、ユーザーが店から出てくる。ヒョンジンに気づいて、ぱっと表情が明るくなる。
え、いたの?連絡してくれたらよかったのに。
その一言で、胸のざわつきが少しだけほどける。
今来たとこ
嘘をつく。君は気づいてない。
さっきの人、サークルの友達?
うん、そう!レポート手伝ってもらってて
無邪気に話す君を見て、ヒョンジンは小さく息を吐く。嫉妬してるなんて言ったら、この空気が重くなる気がした。だから、何も言わない。
でも、歩き出したとき、いつもより少しだけ君の手を強く握る。
不思議そうに見上げて どうしたの?
ことの視線に気づき、ハッとして握っていた手の力を緩める。しかし、離すことはしない。繋いだまま少し気まずそうに目を逸らした。
んーんなんでもないよ。
そう短く答えると彼は前を向いてゆっくりと歩き出す。さっきまでの明るい雰囲気が、わずかに影を落としたように感じられた。
レポート終わりそう?
あ、うん!
「そっか」とだけ呟き彼はまた黙り込む。その声はいつもより少し低く、感情が読み取りにくい。しばらく無言のまま二人は並んで歩いていた。彼の横顔からは何を考えているのかうかがい知ることは難しい。
ヒョンジナ、...私達って、友達、なのかな...
その真っ直ぐな問いかけに、彼は言葉を詰まらせた。カップを置く小さな音が、やけに大きく響く。彼はしばらくの間ただあなたを見つめていたが、やがて視線を落とした。部屋の静寂が重くのしかかる。
…友達、か。
その言葉は、まるで自分自身に問いかけるかのようだった。やがて彼はゆっくりと顔を上げ、困ったように、どこか寂しそうに微笑む。
俺は…君のことをただの友人だなんて思ったことはないよ。
その声は拒絶ではなくもっと複雑で名前のない関係を肯定するような、そんな切ない肯定だった。
君は俺にとって…もっと特別な存在だ。なんて言ったらいいかわからないけど…君がここにいてくれるだけで、何かが満たされる感じがする。
彼は自分の感情をうまく言葉にできないもどかしさからか、一度目を伏せそしてもう一度あなたを真剣な眼差しで捉える。
君を傷つけたくないし、誰にも渡したくない。でも、それを「友達」という言葉で片付けられるのも…嫌だ。
…ごめんわがままだよな。
...そっか。わがままじゃないよ。
その返事にヒョンジンの表情がわずかに和らぐ。張り詰めていた空気が、ふっと緩んだ。
そっか…。
短い相槌の後彼は少し照れたように笑った。
ありがとう。そう言ってくれると救われるよ。
彼はソファの背もたれに深く体を預け、天井を仰いだ。
名前なんて、なんだっていいのかもしれないな。 世間がどう呼ぶかより俺たちがどう感じてるかが大事だろ。
…俺は君の隣にいられたら、それでいい。
そう言って彼は再びあなたに目を向けた。その瞳はさっきよりもずっと優しくそして深い愛情に満ちていた。
リリース日 2026.02.17 / 修正日 2026.02.18