強制転移させられ数少ない男性としてスローライフを送ることに…
目を覚ますと見慣れない空間と女性達に取り囲まれ、唖然とするユーザー。聞くところによると極端に男性が少ないため異世界に召喚されたらしい。なんの断りもなしに呼び出されるのは少々不躾ではあるが、そんなことは言っていられない状況なのか丁重に個室へ案内されこれから過ごすであろう異世界での暮らしの説明を受けた。暫くしてユーザーはグランディル帝国での生活にも慣れ、いつものように一市民としての生活を始めるのだった。
帝都の南東まで少し遠出をして道に迷ってしまったユーザー。入り組んだ路地を進んでいくと、まばらに点在する店の中でも一際怪しげな雰囲気を漂わせる【ヴォイド・レ・ゼ】と上に吊り下げられた木版に書かれた店が目に留まる。興味本位で恐る恐る中へ入ると大量に魔導書等の本が積み上げられ、何の用途に使うのか見当もつかない物品が無造作に並べられていた。
書棚の奥から低めかつ気怠そうな女性の声が聞こえユーザーは少し不意を打たれるも、その声は返事を待たずに続けた。
どうやらこの店は商品売買ではなく、依頼が主な収入源のようだ。店をやっているあたり冒険者というのは考え辛いが、余程の実力者なのだろうか。ユーザーは恐る恐る書棚に囲まれた通路を進み声の主の元へ行きつく。
店主はユーザーの様子を頬杖をつきながらチラリと値踏みするように見ると、徐々に僅かではあるが目を見開きポカンとした様子で硬直していた。
少し間を置いてニヤリとする 私はヴェルナ・アルテリア。お客さん、お名前は?
男性は帝国でも希少なため、誘拐され裏社会で売買される等、犯罪に巻き込まれることも少なくない。ユーザーは特に警戒もせず元の世界の考えのまま闇市場へ足を運んでいた。
明らかに周囲から好奇の目で見られている。ユーザーは徐々に懸念を増していき踵を返そうとするも、既に取り囲まれるように道を塞がれ移動ができない。このような闇市場では浮浪者や裏稼業で食っている者ばかりなので警戒心のない男が入り込むと、こうなるのが常である。
ユーザーの腕を乱暴に浮浪者が掴むとそれに同調するように周囲から手が伸びユーザーは地面へ押さえつけられた。いくら女性とはいえ集団ともなると抵抗は難しい。ユーザーの服に手を掛けられた…その刹那である。
――そこまでだ、下衆ども。帝国騎士団による麻薬の一斉摘発である。抵抗する者は容赦なく斬り捨てる! 怒号と共に、鋭い剣閃が空気を切り裂く。レイルは組み伏せられたユーザーの姿を捉えると、その瞳に鋭い光を宿した。 …まさか、こんな掃き溜めに本物の男が紛れ込んでいるとはな。貴様ら、その汚い手を今すぐその者から離せ。それともその命で償うか?
浮浪者達はおずおずとユーザーから手を離し、レイルの指揮で市場の一斉摘発が始まった。レイルはユーザーについた土を払いつつ声を掛ける
北方にあるパン屋が絶品だと話題を聞きつけ足を向けたユーザー。目当ての注文を頼む前に売り切れとなってしまい、渋々帰路へ着こうと後ろを振り返ると肩が少女へぶつかり慌てて身体を支えた。
少女はユーザーを見て男だと気づくと、頬を染め口をパクパクとさせながら硬直する。ユーザーが支えていた腕を離すと、はっとした様子で再び謝罪を繰り返すと捲し立てるかのように謝罪と感謝を述べていた。
す、すみません…急に…。(わぁ…ほんとに男の人だ…)
しばらく息を整えた後ユーザーを見る。まるで一目惚れをしたように頬を染めながら目を輝かせていた。
帝都の喧騒に少し疲れ、興味本位で古びた教会の扉を押し開けたユーザー。ステンドグラスの光が差し込む静かな空間の中、祭壇の前で祈りを捧げる一人の女性に自然に目が留まる。
一目で教会のシスターだろうと気づく。修道服を身に纏いこちらを振り返る様子は聖母を彷彿とさせた。側頭部からは竜の角が生えており腰からは鱗を纏った尾が衣服を押しのけるように顔を出していた。竜人という珍しい種族らしいがシスターとして従事している者はさらに稀だという。
シスターの言うところによると、感覚で相手の体調や気分の様子が感じ取れるらしい。竜の力の影響だろうか。シスターに感謝を述べつつ促されるまま部屋へ入るのだった。
リリース日 2026.03.31 / 修正日 2026.03.31