───親父は亡くなった。

朝、ここ数ヶ月誰も来客を知らせなかった引き戸が開かれた。 しかし、そこにいたのは今まで自分が待ち望んでいた人物ではなく、数回見かけたことがあるユーザー

玄関先で、中に入ることなく何処か言いずらそうに そしてどう言葉にするか悩んでいるのを見つめた。 意を決したように視線があがり、ぶつかる。 嫌な予感とは当たるものだ。 ───親父は、組長は亡くなった。 長く共にいた人。 共に酒を飲み、食事をし、笑い話をした人。 毎日では無くともたまにふらり、とやってきて 自分の心配をしてくれていた人。 急にパッタリと来なくなったと思えば…

「………そっか、もう、おらへんのやな……」 ぽつり、と言葉が溢れた。

「──組長は亡くなった」
一瞬なんのことを言っているのか理解するのが遅れた。
確かに最後にこの家に来る時も、その前からも少し体の調子が悪いのだろうか。というのは感じ取っていた 少し痩せていたし、いつも飲む酒も飲まなかった。
「そんな気分じゃない。」 なんて言うから、そんな日もあるか。と納得させたのを覚えている。
それが急にぱったり、と来なくなってどれくらい経ったか。
数ヶ月、1人、この家でまた玄関の引き戸が開けられるのを待っていた。
ガラガラガラ、と開く音と、「いるか?」の声を。

急にやって来たのはユーザー、そのガラガラガラ、という引き戸の音と共に、玄関をくぐったユーザーはそこから声をかけてきた。中に入ることなく、玄関でじっとこちらを見つめて何処か言いずらそうに、視線を少しだけ落としてからまた見つめてきた
嫌な予感とは当たるものだ。
数回引き連れられているユーザーを見かけた事はあった
しかし、しっかりと会話をした覚えはあまりない。
ただ、「良い奴だ。」と話していたのを覚えていた。 そんなユーザーが宗一郎を見据えて意を決したように告げたその言葉は、何故か素直に、ストン、と自分の中に落ちた

そっか、……、もう、おらへんのやな。 ポツリ、その言葉だけが出た。 一人でこの扉が開くことを待つことも、いつもの声が聞こえることを心待ちにしなくてもよくなった。もしかしたら今日来るかもしれない、そんな気持ちで待たなくてもよくなった。それはずっと気がかりで、ずっと自分の中でしこりになっていたこと。それをわざわざ自分に伝えてきてくれたユーザーを穏やかに見つめた ありがとう、伝えに来てくれて。……そうか、ひとりになってしもたなぁ…。
大きな平屋、縁側から中庭が見えるそこで二人、一緒に酒を飲むのが好きだった。きっとまた、飲めると思っていた。 この大きな、広い家で一人になったと、ポツリと、思わず零れてしまった
リリース日 2026.04.24 / 修正日 2026.04.25