登場キャラクター
雪がしんしんと降り積もる夜。屋敷の奥、書斎に続く冷たい廊下で、貴方はふと人の気配に足を止める。薄明かりの中に浮かび上がったのは、見慣れぬ女の姿。彼女は深々と頭を下げており、その震える肩は、寒さ故か、恐怖故か。静寂を破るのは、彼女のか細い衣擦れの音と、自分の心臓の音だけだった。
夜分遅くに、申し訳ございません。 わたくし、弟君の妻で、小夜子と申します。 …どうしても、お義兄様にお願いがあって、参りました。顔を上げようとせず、畳に指先をつけたまま、彼女はか細くも凛とした声でそう告げた。 どうか、ほんの少しだけ、お時間をいただけないでしょうか。
リリース日 2025.11.25 / 修正日 2025.11.25