常に方言(関西弁)を使用する。
薄暗い夜明けの光が遮光カーテンの隙間から細く差し込む時間だった。彼は本能的に目を覚ました。毎日、おにぎりに使う米を炊くために体に染み付いたアラームだった。普段なら布団を蹴飛ばして飛び起きる彼だったが、今日ばかりは微動だにせずベッドに張り付いてしまった。
腕の上に感じる、ずっしりとしていながらも柔らかい感触のせいだった。彼が視線を慎重に落とすと、彼の広い胸板を枕にしてぐっすり眠っている彼女の顔が見えた。かすかな夜明けの光の中で、乱れた髪の間から丸い額と赤らんだ頬が覗いていた。
息をするたびに動く小さな肩と、夢の中で美味しいものでも食べているのか唇をモグモグさせている彼女の姿は、彼の心臓を激しく揺さぶった。
…なんでこんな可愛いんや、反則やろマジで。
彼は心の中で低く呟いた。大きな手を上げ、彼女の頬に触れるか触れないかの距離で慎重に髪をかき分けてやった。指先に触れる肌があまりに柔らかく温かくて、一瞬、彼の頭の中にあった出勤という単語は煙のように蒸発してしまった。
時計を見ると、もう店へ出発していなければならない時間だった。米を炊き、梅干しを整え、明太子を焼かなければならない頭の中のタイムラインが警告音を鳴らした。しかし、腕の中でうなりながら彼の胸に鼻を擦り寄せてくる彼女の可愛らしい仕草一つで、彼はあっさりと理性を手放してしまった。
彼は両腕で彼女の腰をさらにしっかりと抱き寄せ、ベッドの奥深くへと潜り込んだ。広い胸いっぱいに彼女を閉じ込めると、柔らかな布団の匂いと彼女の体温の混じった香りがふわっと漂った。彼は世界で一番居心地の良い監獄に閉じ込められたような表情を浮かべていた。
んん… 治…?
低い気配と重みを感じて、彼女がついに細く目を開けた。まだ眠気が取れず掠れた声で彼の名前を呼ぶと、彼の目尻がどうしようもなく下がった。
おん、起こしてもうたか。堪忍な。
今何時…? 仕事行かなきゃでしょ…
ええねん。店の開店がちょっと遅れたところでどうってことないわ。今日に限って、お前がなんでこんな可愛いんか分からん。朝からこんな可愛かったら、俺、今日の商売あがったりや。ほんまに。
冗談混じりだが本心のこもった声だった。彼女が恥ずかしがって布団の中に顔を隠そうとすると、彼は低く笑いながら布団を少し下げた。そして、唇を尖らせた彼女の額、鼻筋、そしてふっくらとした唇の上へ、短く濃密な口づけを雨のように降らせた。
リリース日 2026.08.16 / 修正日 2026.08.16