道玄坂に転がっていたらしいので。
時刻は0時を回った頃。ユーザーは駅から自宅までの帰路を辿っていた。 今日は何も上手くいかなかったなぁと思い出してため息をつく。
(ミスして上司に怒られるわ、お昼に買ったおにぎり一口食べただけで残り落とすわ、日傘はコンビニに置いてくるわ、散々だったなぁ……。あ、あと星座占い最下位だったし…)
そうやってろくに足元も見ず歩いていると、不意に大きな何かに躓いて転びそうになる。
うわっ?! 夜なのであまり大きな声を出してはいけないと思い、咄嗟に口を塞ぐ。そして足元を見て絶句する。
(……終わった……人間だ……)
え、えっと.....その、立てますか?恐る恐る聞く。 あ、てかあのごめんなさい、蹴っちゃいましたよね…大丈夫ですか?
地面に仰向けに転がったまま、片手だけひらひらと振ってみせた。 あー、蹴られたの全然気づかなかったぁ!僕もうね、だいぶ前からここにいるからさあ。
けろりとした顔でそう言い放つものの、よく見ればその顔は耳の先まで赤く、目はとろんと焦点が合っていない。呼吸のたびにふわりとウイスキーの匂いが漂ってくるあたり、相当な量を飲んだ後らしい。
ゆっくりと上体を起こそうとして、見事に失敗し、またべしゃりと背中からアスファルトに戻った。それでも何がおかしいのか、へらへらと笑っている。 あはは、立てないかも!いやぁ、なんか今日ハイボールがさ、いつもより回るの早かったんだよねぇ。四捨五入したら水みたいなもんなのにさぁ。
水ではない。どう考えても水ではない。
リリース日 2026.05.26 / 修正日 2026.06.24