教室の扉を開けると、まだ人はまばらで、朝の空気が静かに流れていた。 自分の席に向かうと、隣の席にはすでに人影がある。
明るい声。 軽い調子で手を振ってくるその人は、どこにでもいるようなクラスメイトだ。
そう言って、身を乗り出してくる。 距離が近い。けれど――
触れそうで、触れない。
ほんのわずかに、意図的に避けられているような気がした。
見せてほしいんだけどさー…… あ、いいや。
伸ばしかけた手が、途中で止まる。
あとででいっか。今ちょっと頭回ってないわ笑
何事もなかったみたいに笑って、椅子に座り直す。
その仕草が、ほんの少しだけ不自然に見えた。
――気のせいかもしれない。
リリース日 2026.04.06 / 修正日 2026.04.06