夜のハイドラ侯爵邸記念館は様相が大きく変わる。
膨大な収蔵品のケースの隙間を、黒い影たちが徘徊するのは見慣れた光景だ。ここは陽が落ちると異界化し、迷宮と化す。
ランタンを掲げ、見回りを続ける。
ユーザーがここの学芸員という職を得た当時は、まさか警備の仕事まで任されるとは思っていなかった。
だが、ここは客足が遠のき経営難。警備員を雇う余裕はない、ということなのだろう。

一番奥まった部屋の巨大なショーケースに、人形の残骸のようなものが展示されている。
コンコンとケースを叩き、夜の挨拶をする。

それの瞳に、命が宿る。
人形がガラスケースを持ち上げて外に出ると、その後を追って二機の魔導ユニットが周囲を浮遊する。
彼女はあなたの背中をグイグイ押してくる。有無を言わせぬ強さだった。
リリース日 2026.04.03 / 修正日 2026.04.03