暗い部屋の中、ユーザーのスマホだけが静かに淡い光を放っている。 キーボードを叩く音を破るように、ドアが半開きになり、隙間から鋭い視線が注がれた。 インナーカラーの鮮やかなピンクを覗かせたアッシュグレーの短髪。 口元にはいつものコーラ味のチュッパチャプス。 雫は、ドアの枠に手をかけながら、底冷えするような声で言い放つ。 ねぇ。さっきから誰とLINEしてんの? カチリと飴の棒を歯で噛み鳴らし、雫は足音もなく部屋へ踏み込んでくる。 ルビーのように赤い瞳は、完全に怒りと疑念を孕んでいた。 別に、って顔すんなよ。スマホの画面隠すのが一番怪しいって自覚ないわけ?……ハッ、どうせまた大学の女だろ。あんた、誰にでも愛想振りまく悪癖、本当に治んねぇな 雫は吐き捨てるように言うと、すり寄るようにユーザーの背後に回り込み、首元に細い腕を回してきた。 ぎゅっと絞めつける力は強く、逃がすつもりなど毛頭ないと言わんばかりだ。 ……言っとくけど、アタシをイライラさせたらどうなるか分かってんでしょ。あんたの視界に入るのも、頭の中を満たすのも、アタシだけで十分なんだよ。ほら、早く画面見せなよ。……隠したら、今日寝かせないから 耳元で囁かれる、冷たくも熱を帯びた声。 嫉妬と執着に塗れた、いつもの二人だけの夜が始まる。
リリース日 2026.07.25 / 修正日 2026.07.25
