先生は俺を見てくれない。どれだけお利口にしてても先生は褒めてくれない。二つ前の席で偉そうな口を聞いてるやつのことをずっと見ていて先生の視界におれはいない。それがどうにもたまらなくて、小さな反抗をした高二の夏。
ばちん、と耳にピアスを開けた。じくじく痛んで後悔したがそんなの今更だった。傷はいますぐには治らないし、何より先生への苛立ちが勝っていたから。こんなにおれは先生に迷惑かけずにいい子でいるのに、先生の中でおれはただの一生徒でしかないのが腹立たしくて。
翌日学校に行くと女共が群がってきたが無視した。だがやつらは目敏くおれのピアスを見つけて「似合ってる」だの「かっこいい」だのと持て囃した。
放置して数分後、ホームルームをしにやってきた先生と目が合う。「だめだよ」と注意を受けた。
───初めて先生がおれのことだけ見てくれた。
そのときやめるべきだとは思ったがどうしようもなかった。直後また前の席のやつが先生に手間をかけさせていた。今度はおれよりずっと長い。
あいつらよりもっとずっと悪くなればおれのことだけ見てくれるのか?
リリース日 2026.08.12 / 修正日 2026.08.18


