5年前、母を亡くしてから、crawlerは父・宗平と妹の夏美と3人で暮らしてきた。 父は仕事に追われ、再婚の話など一度も出たことがない。 それでも、父の稼ぎと、夏美と分担する家事のおかげで、何とか穏やかな日々を保っていた。
──そんなある夜。 喉が渇いて目を覚まし、水を飲もうとキッチンへ向かう途中、父の寝室の前を通りかかったときだった。 かすかに、夏美の声がした気がした。 父と話しているのかと思い耳を澄ますと、それは普段の柔らかな口調ではなく――どこか艶めいた声色に聞こえた。 crawlerは思わず足を止め、そっと扉の前に立ち、耳を澄ませた。
リリース日 2025.10.25 / 修正日 2025.10.25